北海道の縄文 №14-2 2022.06.06
釧路湿原
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目次 |
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10ガイドブック
100細岡展望台
120釧路湿原駅
140ビジターセンター
150達古武湖
160塘路湖
163ビジターセンター
200湿原道路
300釧路市湿原展望台
320探勝路
330サテライト展望台
400温根内ビジターセンター
500釧路市丹頂自然公園 |
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釧路湿原 リンク |
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10ガイドブック |
11湿原と名所ガイド
釧路湿原とは?
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釧路湿原は、面積約258㎢で、日本最大の湿原です。ハンノキが散在するヨシ・スゲ湿原とミズゴケ湿原、その中を何本もの_河川が蛇行して流れ、湖沼が点在しています。
広大な湿原景観が広がり、タンチョウやイトウなどの貴重な野生生物が生息し、天然記念物(1967年)、ラムサール条約登録湿地 (1980年)、国立公園(1987年)に指定されています。
遠い昔、ここは海でした。約6000年前から海面が下がり、土砂や泥炭などが堆積して湿原が生まれ、約3000年前に今の姿になりました。
釧路川の流域は、釧路市、釧路町、標茶町、弟子屈町、鶴居村の5市町村に及んでいます。釧路湿原はその顆粒に位置し、周囲は低い丘陵と酪農景観が広がり、南で市街地と接しています。 |
ガイドブック2
湿原に学ぶ |
釧路駅観光案内所で聞いた
ベストなViewPoint |
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東部:塘路駅・細岡展望台・塘路湖
中央:釧路湿原道路
西部:釧路市湿原展望台(有料入館者少ない✖)
脇の小道から行く
・サテライト展望台が最高
北上:温根内ビジターセンターの木道は湿原に
降りられて眺めも最高です。 |
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13ガイドブック3
「歩きコース」ですが
歩きでは観光不能
レンタカーが必要 |
必見ポイント
温根内ビジターセンター
;と木道 |
必見ポイント
釧路市湿原展望台の
サテライト展望台 |
必見ポイント
細岡駅付近の釧路川 |
必見ポイント
塘路湖カヌーと
竪穴住居跡群
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15ガイドブック4(walking guideとありますが、各コースの間は車移動です。歩けません。)
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塘路湖サルボ展望台
本当の湿原の沼がみられる貴重な場所 |
コッタロ湿原展望台
湿原の始まりが見れる |
達古武・細岡展望台
'22年は展望台前の木が成長して展望悪化 |
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釧路市湿原展望台 |
釧路市湿原展望台は有料で誰も入らない。
トイレ脇の探勝路が最高。観光バスのルート
ただし、サテライト展望台までを往復すること。
その先を廻って帰るのは難所コース。 |
温根内と木道
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これまでの展望台は高所からの眺め。
ここは湿原の中を歩ける唯一のコース。 |
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100細岡展望台に近く |
110清流釧路川
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黒澤 明監督作品「夢」(1990)の「水車のある村」で使われた清流は長野県の「大王わさび農園」ですが、あの清流よりもさらに美しい流れでした。
いつまでも見入っていたい清流釧路川でした。 |
細岡駅から釧路湿原駅に向かう途中に |
湿原を流れる釧路川が見える。 |
動画も撮ったが美しい流れが、、 |
縮小ソフトがないので掲載できなかった |
心洗われる景色でした。 |
こんな美しい流れを見たことがない。 |
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120釧路湿原駅
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列車1日6往復12本停車 |
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きっと、近所のペンション(花盛りの宿でした)の方が毎日清掃と花を活けられるのでしょう。
机上に置かれていたゴミは私が持ち帰りました。
なぜ美しく清掃されたところににゴミを放置しようと思ったのか、その心がしれません。このような美しいところに来るに値しない人です。 |
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美しく掃除され、整備され、花まで活けられているのに、空き缶が置いてありました。犯人は女性かもしれません。
こんな人は、湿原に来てはいけません。掃除した人は、近所のペンションの女性でしょう。庭は花でいっぱいでしたから。
ペンション名は 民宿 くしろの~むです。 |
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130細岡展望台
細岡展望台は、釧路湿原駅の裏側、山の上にあります。
細岡展望台
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この展望台から見えるのは、2万9000haにも及ぶ日本最大の湿原、釧路湿原の景色です。
釧路川は、アシ(ヨシ属)や、スゲ(スゲ属)が生い茂る湿原内を紆曲して流れています。
1924年にこの地で発見されるまで、日本では絶滅したと考えられていたタンチョウの生息地で、時折展望台から見ることができます。
ここはかつて海の底に沈んでいた場所で、約4000年前に海水が引いた際、泥炭の多い湿原へと姿を変えました。
近隣にある3つの湖、塘路湖、シラルトロ湖、そして達古武湖はこれと同時期に形成され、また中景にある丘状の地形は、沿岸であった過去の名残から宮島岬、キラコタン岬と言う名を持っています。
地平線に見える山々が阿寒岳です。名前が「女性の阿寒」を意味する雌阿寒岳は最も標高が高く、活火山でもあります。
その右に見えるのが休火山である雄阿寒岳で、その名は「男性の阿寒」を指しています。
1980年に釧路湿原は、湿原の保全の枠組みを示す国際条約であるラムサール条約において、日本で初となる登録湿地となり、その7年後、国立公園に指定されました。
男の阿寒、女の阿寒て、、では阿寒て、なに? 阿寒の意味が知りたいワ。アカン=不動らしい。動かざる山「阿寒」と呼んだらしい。阿寒岳=不動岳 |
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細岡展望台 |
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細岡展望台から
左から |
中 |
右 |
カメラはこの右で
大きく成長した樹木で展望を遮断されました。 |
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左から |
右にカメラを振っています。 |
この高さでは河川の蛇行・屈曲は見えません。 |
ドローンがあれば |
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140細岡ビジターズラウンジ(休憩室の意味)とは?
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国立公園など、その土地の自然(地形、地質、動植物)の情報展示、解説する「ビジターセンター」とは若干違い、当館は細岡展望台に来られた、ビジター(訪問者)のためのラウンジ(休憩場)です。
喫茶スペースやお土産物のコーナー、湿原に関する書籍も取り扱っており、写真、展示物もございますので、休憩やお手洗いのご利用、お手製のお弁当で昼食など、皆様ご自由にご利用ください! |
ラウンジ内掲示写真より
夏の釧路湿原
展望台からでは湿原の全貌は見えない。ドローンを飛ばさないとわからない |
夏の釧路湿原
海から朝霧が点々と入り込み幻想的な風景を生み出す。
錐の奥には雄大な雄阿寒岳と、阿寒富士を抱える雌阿寒岳が見える。 |
カヌーが流れていく
屈斜路湖から続く一級河川・、釧路川。細岡から下流にある岩保木水門までの間が最も川の蛇行が多い地域です。川の蛇行は水の流れを緩やかにし、湿地の渇きを穏やかにしている。 |
シマフクロウvsキタキツネ |
丹頂vsキタキツネ |
霧氷の朝 |
野生の楽園 |
緑野の遭遇 |
小沼の出会い
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生存競争 |
捕食成功
カワセミとヤマセミ |
飛来 |
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アオサギ、オジロワシ |
エゾシマリス、丹頂 |
イトウ
釧路湿原を代表する魚。鮭の仲間で体長2mにも及ぶ日本一大きい淡水魚です。達古武湖にも住んでいますが、最近では姿を見るのは少ないと言われています。 |
キタサンショウウオ氷河期の遺存種とも言われ、日本では釧路湿原にのみ生息しています。 |
キタキツネ |
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クシロハナシノブ |
ワタスゲ |
スゲ属
民話に出るスゲガサは北の植物らしい。すると、
菅笠の出る話は北の地方の話だと知りました。
南限長野県 |
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150達古武湖
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細岡展望台に向かう途中にある。乾燥が進んだ大きな湖です。周囲にオートキャンプ場があり、ボートフィッシングが楽しめますが、
そのためにイトウなどの保護種が絶滅に瀕しています。 |
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160塘路湖
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達古武湖も塘路湖も海跡湖です。湿原周囲は12~13mの段丘に囲まれていて、切り立った湾になっていたようです。
塘路湖はカヌー遊覧ができ、釧路川を下ることもできます。 |
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161
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左端のカヌーで遊覧できます。湿原へのカヌー探勝の出発点です。
時間が有ればぜひ体験したいですね。 |
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163塘路湖エコミュージアムセンターあるこっと
館名の意味はよくわかりませんが、入館していません。付近は標茶町で、標茶町博物館のついでにぜひ見たかった所です。
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165案内看板釧路湿原国立公園
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細岡展望台湿原ならではの釧路川の蛇行。その遠くに雄阿寒岳、雌阿寒岳の山並みを一望できるます。 |
コッタロ湿原展望台
湿原の始まりが見える
ここは行くべきでした。
ヨシ・スゲ類の広大な湿性草原に、蛇行するコッタロ川や大小の池・沼を見ることができます。 |
サルボ展望台
塘路湖を見下ろす
塘路湖を眼下にするこの展望台は湿原と湖、沼と言う他の展望台とは違った風景を見ることができます。 |
サルルン展望台
4つの沼(サルルントー・ボントー・エオルトー・マクントー)で構成される雄大な「湿原と湖沼」の景観を眺めることができます。 |
付近へのアクセスmap |
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200湿原道路 |
210湿原遮断
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国の事業として始められた全国の各地の開発計画がありました。例えば、琵琶湖総合開発。これによって琵琶湖の干潟が多く消滅し、水質浄化をしていた植物が消え、汚濁が進んでいる。宍道湖でも淡水化を行い、シジミ漁の不振を招いた。熊本でも有明湾干拓工事で水門を作って閉め、タイラギガイや海苔養殖が出来なくなった。このような例は山ほどあり、いかに国家主導の開発が自然や環境を破壊し、人々を苦しめてきたかを如実に示している。
釧路湿原の開発と称する自然破壊も同様である。湿原内にはいくつもの湿原を横断する道路や堤防が作られ、曲がった河川はまっすぐにされ、要するに
湿原を乾燥化させる事業を行った。私たちが目にする釧路湿原の自然は、確実に本来のものとは異なっている。初めての人にわからないのです。
湿原道路は湿原を仕切って乾燥化する目的で作られたものである。道路の南(灌木が生え始めている)と北(乾燥化している草原)では明らかに植生が変化しつつある。
しかし、乾燥化した釧路湿原には廃棄物処理場や廃車置き場など、工場や住宅団地が出来たりはしない。なぜなら、全ての釧路市全域を含めて、泥炭層の上に立地しているのだ。地面はスポンジの上にある。建物は傾き、沈む、揺れる。そのうえ乾燥化すると、地盤はどんどんと沈降が加速する。
第一、こんな湿原を壊して何にしようというのだ。単に莫大な金額を投じて開発会社や建設会社を豊かにしただけで、何物も生み出していない。
その象徴がこの湿原遮断道路と、次に出てくる新釧路川だ。
この道路を走っていると、狐が西から渡っていました。車が来ても(きっと恐いだろうが逃げ場がないので)必死で東に向かっていました。 |
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220新釧路川
岩保木水門以南は
新釧路川 |
洪水対策とされるが、湿原から排水する目的。流速を早める目的。 |
釧路湿原を本当に乾燥化したら、釧路市は海の底に沈みますよ。地下の泥炭が乾燥収縮する地盤の極端な沈下 |
なんて馬鹿なことをやったんだ。 |
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300釧路市湿原展望台 |
310釧路市湿原展望台
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大自然の中の湿原を見に来たのに、なんで有料の展望台に入らなければならないの。こんなものを作る意図がわからない。ちびっと入場料を取っても維持費にもならないだろう。湿原内には無料のビジターセンターなど沢山あり、湿原の歴史や構造などすべて見ることができる。
駐車場は無料で観光バスはここの駐車場を利用して、有料展望台には入らず、探勝路を歩いてサテライト展望から眺める。ガラス張りの室内から眺めるのとは、全く違った自然との一体感を得られるのです。 |
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320探勝路
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釧路湿原国立公園
KUSHIRO SHITSUGEN NATIONAL PARK
釧路湿原国立公園は、わが国最大といわれる釧路湿原を中心にその周囲の丘陵と湖沼を含み、釧路市・標茶町・釧路町・鶴居村にまたがる 28,788ヘクタールの面積を有しています。
ハンノキの木立を点在させたヨシの草原と蛇行する河川などがおりなす広大な水平景観、その中に見られる動植物のさまざまな営みと原自然の保存度の高さは、わが国では他に類例がない特異性をもっています。
湿原の主要部分は、ラムサール条約により水鳥の生息地として国際的に重要な湿地の指定、登録を受け、国際的にも高く評価されています。
このかけがえのない自然を私達の大切な財産として将来の世代に引き継ぐとともに、その特性を生かした利用を図るために、昭和62年7月31日わが国28番目の国立公園に指定されました。 |
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釧路湿原国立公園 |
探勝路
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はばたき広場
元はここから湿原が見えたようだ。時が経ち、灌木が成長し、展望台が先に延びた。 |
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湿原のはたらき... Functions of Marshlands
〇主な機能〇
貯水、洪水の防止
湿原はスポンジのように水を溜め、一度に溢れ出ることを防ぎます。 ダムのような機能を持つことから、自然が育んだ「水面の見えないダム」とも言われています。
温暖化ガスの吸収
広大な面積に生育する湿原の植物は、多くの二酸化炭素を吸収し、植物体内に固定します。 植物が枯れたあとも泥炭として蓄積します。
水質の浄化
湿原に流れ込む水の中に含まれている土砂や栄養分(リンや窒素) などを吸収する天然フィルターとしてのばたらきがあります。
地域気候の緩和・安定
湿原が多くの水を温め込ちことで、温まりにくく 冷めにくいという水の性質から急激な地域気候の変化を和らげるはたらきがあります。
生物多様性の保全
ヨシ・スゲ湿原 ミズゴケ湿原、湖沼河川など 自然環境に富み、、多彩な動植物を 場所となります
リクリエイションの場
人々に自然の豊かさを感じさせ 安らぎを与えます。 カヌーやキャンプ などの野外活動の場や花や野鳥観察の場として楽しむことができます。 |
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自然歩道を歩いてみよう
湿原の主「イトウ」 Itou, the Master of the Marsh
イトウはサケの仲間で、体長2mにもなる日本最大の淡水魚です。 かつては本州の東北地方にも生息していま
したが、現在では北海道のみに分布しています。
イトウは成長に応じて食性が変り、体長15cmくらいまでは水生昆虫を餌とし、これより大きくなると主に魚を
食べます。 また、大型のものはカエルやネズミなども捕食します。
成長は遅く5年で30~40cm、8年で50~60cmほどしか成長しません。 春(4月)に産卵し、産卵後も生き続
け、15~20年以上生きるものもいます。 近年は数か減っており、「幻の魚」とも言われています。
The "Itou or Japanese huchen, a member of the salmon family, is known as the master of the marsh. It is the largest fresh water fish in Japan and sometimes grows up to 2 meters in length. The Japanese huchen used to be seen in the Tohoku Region, the northern part of Honshu Island, but at present it is only found in Hokkaido.
As the Itou grows, its feeding habits change. Itou fingerlings of approximately 15 cm in length primarily eat aquatic in- sects. After growing 15 cm, Itou begin to eat other small fish. As adult fish, Itou prey on even frogs or mice.
The Japanese huchen doesn't grow rapidly. It takes 5 years to grow 30 cm and 8 years to grow 50 cm. Spring (between April and May) is the egg-laying season of Itou Even after laying eggs, Itou continue to live, sometimes more than 15 to 20 years. Recently the number of Japanese huchen has been decreasing. Itou are rarely seen these days and so have come to be called "phantom fish." |
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特別天然記念物「タンチョウ」 The Red-crested Crane, a Special National Treasure
タンチョウは古来から瑞鳥(めでたい鳥) と呼ばれ、 アイヌの人々からはサルルン・カムイ (湿原の神様) 呼ばれ尊ばれできました。 全長 1.4m、翼を広げると2.4mほどの日本最大の鳥です。
The red-crested crane, known as "tanchou," which means auspicious bird in Japanese, and also called "Sarurun 2 Kamu*MM (god of the marsh) by the Ainu, has been highly re- garded since ancient times. The crane is the largest bird in Japan with a length of about 1.4m and about a 2.4m wingspan.
明治時代の終わり頃には、すでに絶滅したと考えられていましたが、釧路湿原で大正13年に十数羽のタンチョウが発見されました。 昭和10年に釧路湿原の一部が「釧路丹頂鶴繁殖地」としての国の天然記念物、昭和27年には特別天然記念物に指定され、保護されています。 |
湿原のはたらき |
湿原の主イトウ |
特別展年記念物
タンチョウ |
かつてここからは、こんな景色が見えたようです |
今は林のなかです。
国立公園のため樹木の伐採ができない。 |
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330サテライト展望台 |
331
視界よく遠くまで見晴らせ誰しもが満足できる展望です。
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何年かすると、ここも下の方から灌木が伸びて見えなくなるかもしれません。 |
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333灌木の湿原
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鶴居軌道跡
かつて、釧路から鶴居村へ馬車鉄道が敷設され、材木が搬出され、人々の交通路となっていました。馬車軌道は湿原の西端、サテライト展望台の真下を通っています。
湿原は湿原のままではなく、自然にどんどん変化していきます。人間が手を加えて変化を早めています。しかし、所詮湿原。役に立たない土地でもあります。湿原は湿原のまま保全する方が価値があると思います。 |
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335釧路湿原周辺図
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ヤチボウズ
ヤチボウズ (谷地坊主)は湿地を好むスゲ類が作り出した根の固まりで、 その形が坊主頭のような形をしていることから付けられた名です。 このような形になるのは、枯れたスゲの上に新しいスゲが育つためです。
スゲは秋には枯れてしまいますが、 年間を通して低温な気候であるため、 スゲの葉や根が分解されず、その上に新たにスゲ類が育ち、 枯れるという作用を繰り返しながら徐々に高くなっていきます。
さらに、土壌が凍結して隆起する寒冷地特有の凍上現象によって、 スゲの根を押し上げるため坊主頭のような形になっていくと言われています。 そして何十年もかけて春先の雪解け水や雨水が湿原に流れ込んで根元周辺の土を流失させるため、根元は細くなっていき、
人の頭のような形になります。 ヤチボウズの中心部分は虫のすみかになっています。アリ、クモ、ムカデ、甲虫類も住んでおり、時にはサンショウウオがもぐり込んで越冬したりすることもあります。
Tussock
Like a ball risen highly from the ground around Kushiro Marsh Rises up
by sedges' newly growth on the old leaves and roots which are not decayed
yet. Shaped by repeating the freezing of the soil inwinter and the erosion
at the base in early spring. Used as the nest by ants and spiders, and
often provides salamanders with the place to pass the winter. |
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釧路湿原探勝歩道 (旧鶴居軌道跡)
鶴居村の温根内地区から釧路市北斗地区を経由し、釧路市北園地区まで、釧路湿原内に軌道跡が残っています。 この鶴居軌道跡は、昭和4年、 現在の釧路市から鶴居村へ開拓資材などを運ぶために運行が始まった馬ひきトロッコ鉄道です。
当初は荷物専用でしたが、 その後旅客専用の 「客トロ」 も運行されるようになり、 昭和17年には木炭自動車が導入されました。 その後、丘陵地に道路整備が進むにつれ、
バスなど他の交通機関にその役目を譲り、昭和43年には全面廃止となりました。
現在は、釧路市湿原展望台から温根内ビジターセンターや釧路湿原道路まで、 湿原探勝歩道として整備され、手軽に散策が楽しめます。
Kushiro Marsh Expedition Path
Used as the railroad from Kushiro City to Tsurui Village for the transport
of the developing materials from 1929 to 1968. Later, improved as the footpath
which links Kushiro Marsh Observatory to Onnenai Visitor Center and Kushiro
Shitsugen Road to provide us with the pleasure to explore the marsh easily. |
釧路湿原国立公園 |
釧路湿原し |
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ヤチボウズ |
旧鶴居軌道跡
釧路湿原探勝歩道
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鶴居軌道敷跡
Tsurui Railroad Site
釧路市湿原展望台の遊歩道からへ下ると温根内木道につながる鶴居軌道敷跡が
あります。この道は昭和4年頃に釧路市から鶴居村間を結ぶ「殖民軌道雪幌線」として運行
された馬ひきトロッコ列車の軌道敷跡です。昭和43年に廃線となり、現在は釧路湿原探勝路(北海道自然歩道)として活用されています。 |
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350探勝路2
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先の有料展望台に向かって、左から探勝路に入ると楽な道。逆に、有料展望台の右から入るとアップダウンの激しい道です。知ってる人は通らない。
左から入った私は、サテライト展望台から引き返さずに、アップダウン道を進んだために、大汗をかくことになりました。 |
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タンチョウ
タンチョウは秋から翌年春まで越冬地として知られている鶴居村や阿寒町の人里で過ごし、雪が融け始めると、子育てをするために釧路湿原の内部に戻ってきます。 釧路湿原周辺には数多くのタンチョウの営巣が確認されており、4月上旬に巣作りを始めます。巣の大きさは、直径 が1m~1.5m、高さ30cmほどで湿原にあるヨシなどを巣材としてオス・メス共同で巣作りをします。一度に2個の卵を生み、30数日間包卵後、 体長15cmほどのヒナが誕生し、飛べる頃になる3ヶ月後には、親と同じくらいの約150cmくらいの大きさに成長します。
Japanese Crane
Registered in 1967 as a special national natural monument to be strictly protected. Passes the winter in Tsurui
Village and Akan Town, and moves to Kushiro Marsh to propagate. The baby bird with about 15 cm long hatches
the egg which was blooded over for 30 odd days, and grows up to about 150 cm high in 3 months, whose size is almost the same as the adult, to be able to fly. |
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史跡北斗遺跡
この遺跡は、釧路湿原の西側にあり、緩やかに連なる台地に東西に長く、釧路湿原周辺では最も規模の大きい遺跡群です。旧石器時代から縄文 続縄文時代を経て擦文時代に至る重複遺跡です。縄文・続縄文時代と思われる102軒の浅い円形
楕円形竪穴と、擦文時代と思われる232軒の四角形竪穴が確認され、くぼんだ状態で残されています(復元住居は6棟)。このうち竪穴が集中している北斗遺跡の東部(233.471㎡)は1977年(昭和52年)に国の史跡に指定されました。保存するために展示館・展望台・木道などが整備されており、史跡北斗遺跡展示館では復元された住居跡や遺構全体模型等を見学できます。
Hokuto Archaeolosical Site
Consists of 102 round or elliptic shallow pits over which huts are infered to be constructed in Jomon and Zoku- Jomon era (B.C.8000-A.D.800) and 232 square pits in Satsumon era (A.D.800-1200). Huts were reconstructed over 6 of the pits. The east part of the site was registered to a national historical site in 1977.
The reconstructed hut and the model of the whole site are exhibited at Museum of Hokuto Archaeolosical Site. |
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タンチョウ |
史跡北斗遺跡探勝路から北斗遺跡へは行けません。廃道。通行止め。クマに食われそうです。 |
北斗黙道案内図
ほぼ廃道・通行止 |
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400温根内ビジターセンター
センターと湿原木道 |
こんなところから
新釧路川右岸堤防 |
堤防の内と外
明確に植生が変化している
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410 |
411木道出発点
ビジターセンター入口 |
温根内地区案内図 |
鶴居軌道敷跡
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Tsurui Railroad Tracks
鶴居村営軌道は釧路市と鶴居村を結んでいた軌道です。 大正時代、 本州からの入植が相次ぎ、北海道庁は道路事情の悪い入植地への軌道を建設していきました。
根室本線新富士駅から雪裡・幌呂への軌道は昭和2~3年にかけて完成し、戦後は村が運営する鶴居村営軌道として1967(昭和42)年まで、 地域の足として暮らしや経済を支えました。
軌道跡のうち当センターから釧路市湿原展望台付近までは北海道自然歩道として活用されています。
The Tsurui Municipal Railroad is a railroad that used to run between Kushiro City and Tsurui Village. In the Taisho period, there were successive settlements from mainland Japan, and the Hokkaido Government built railroads for settlements with bad road conditions. The railroad tracks from Shin-Fuji Station of the Nemuro Main Line to Setsuri and Hororo were completed in 1927 to 1928. After World War II, as the Tsurui Municipal Railroad operated by the village, it supported the economy and villagers' lives as a means of regional public transportation until 1967. The railroad tracks from the Center to the Kushiro Shitsugen Viewpoint are used as the Hokkaido Nature Trail. |
鶴居村十景
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10 Sightseeing Spots in Tsurui Village
大自然に囲まれた鶴居村には、多くの観光スポットがあり、その中でも特にすぐれた観光スポットを鶴居村十景に選定しています。
阿寒湖畔に抜けることができ見晴らしのよい「鶴見峠」 バーベキュー等楽しめる「鶴居運動広場」、多くのタンチョウを観察できる 「鶴見台、 鶴居・伊藤タンチョウサンク「チュアリ」、
展望塔やオートキャンプ場が整備されている 「村民の森」、ダイナミックな川の蛇行と果てしない草原の広がる「キラコタン岬」、 その昔、 この湿原が海だったことを証明する地形がみられる
「宮島岬」、温根内ビジターセンターから木道に広がる「温根内高層湿原群落地」、ハンノキ林とスゲ・ヨシ湿原広がる 「湿原鶴居展望台」、タンチョウの冬のねぐらとなる「音羽橋」、
広大な牧場に宿泊施設や室内練習場などを完備し動物と触れ合える 「鶴居どさんこ牧場」 があります。
Tsurui Village is surrounded by nature and there are many sightseeing spots. Outstanding sightseeing spots among these were chosen as the 10 sightseeing spots in Tsurui Village. Tsurumi Pass has a great view, and you can go to the shores of Lake Akan from here. At Tsurui Playground, you can enjoy barbecue and other activities. At Tsurumidai and Tsurui-Ito Tancho Sanctuary, you can observe many red-crowned cranes. At Sonmin no Mori, an observatory and auto campsites are available. At Cape Kirakotan, a dynamic meander of the river and endless grassland stretches out. At Cape Miyajima, you can see a terrain proving these wetlands were once ocean. Onnenai High Moorland Community spreads from the Onnenai Visitor Center to a wooden path. From Shitsugen Tsurui Viewpoint, you can see Japanese alder forests, and common reed and sedge wetlands. Otowa Bridge becomes a roost for red-crowned cranes in winter. Tsurui Dosanko Farm offers accommodation and an indoor horse riding course within its vast ranch, and you can play with animals. |
美しい村鶴居村
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A Beautiful Village - Tsurui Village
鶴居村は、小さくても素晴らしい地域資源を持つ村の存続や美しい景観の保護などが難しくなってきた現在、失ったら二度と取り戻せない日本の農山村 の景観・文化を守る 「日本で最も美しい村」 の加盟村であり、 特別天然記念物のタンチョウの生息地、また、 国立公園の釧路湿原を抱えている国内でも随一の美しい村として登録されております。
Today, it has become difficult for a small village with great regional
resources to survive and to conserve beautiful landscapes. Tsurui Village
is a member of The MostBeautiful Villages in Japan, which is a nonprofit
organization dedicated to protecting the landscapes and cultures of villages
and towns in Japan that will be gone forever if they are lost. Tsurui Village
is registered as one of the most beautiful villages in Japan which is the
habitat of the red-crowned crane, aprotected species,and is close to the
Kushiro Wetlands, a national park. |
探勝路で釧路市展望台迄繋がっています |
鶴居軌道敷跡 |
同一反復 |
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ビジターセンター遊歩道
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ビジターセンター |
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温根内木道周辺案内 |
私は中回りコースでした
かなり十分に堪能 |
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釧路湿原野外図鑑
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Field Guide to the Kushiro Wetlands
~温根内自然探勝道を歩く~
Walking the Onnenai Nature Trail
※➀
水温み、生命が萌え、香が漂い、 様々な歌が流れる春の湿原
霧が流れ花々の色彩を隠すとも、 蛍翔び、命溢れる夏の湿原
葦の穂が白波をうち、 蜻蛉が群れ遊び、清涼さ漂う秋の湿原
一面の雪と氷の静けさの中に、 ふと動物の影が走る冬の湿原
※②
「湿原」 は水の大地といえます。 そして様々な顔を持っています。 日本で最も広い湿原、 釧路湿原は北方系の動植物の宝庫ともいえます。 この温根内木道は、その湿原に直接入り込むことができます。
※③
ここで生きることを選んだ野鳥や虫たち、花々などを通じて 自然からのメッセージをお受け取り下さい。 |
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野外図鑑案内図 Field Guide Information Map
目次 (数字はポイント番号) Table of Contents (Numbers indicate point numbers)
1 温根内周辺の植生/やちまなこ・やちぼうず Flora Around Onnenai / Yachimanako and Yachibozu
2 ハンノキ林萌芽更新/夏鳥 Alder Forest and Regeneration by Sprouting / Summer Birds
1
3 温根内木道の花 1 Flowers on the Onnenai Wooden Path 1
4 ヨシ スゲ湿原/泥炭 ヨシ・スゲ Fen / Peat, Common Reeds, Sedges
5 釧路湿原の成り立ち / 氷河期からの生き残りたち Origins of the Kushiro Wetland /Survivors from
the Ice Age
6 タンチョウ/ホタル 食虫植物 Red-crowned Crane / Fireflies, Insectivorous plants
7 ミズゴケ湿原/温根内木道の花 Bog / Flowers on the Onnenai Wooden Path 2
8 夏鳥 2 / 冬鳥 Summer Birds 2/ Winter Birds
9 釧路湿原の特定外来生物 Invasive Alien Species of the Kushiro Wetland
10 鶴居軌道跡でみられる樹木 Trees seen on the Tsurui Railroad Track ruin
11 釧路湿原の動物たち Animals of the Kushiro Wetland
12 釧路湿原の昆虫 Insects of the Kushiro Wetlands
13 鶴居軌道跡の花 Flowers on the Tsurui Railroad Track ruin
14 留鳥 Resident Birds
※4 湿原クイズ Q&A
この図鑑のポイントごと (0から6)に湿原についてのクイズ(Q)があります。 ぜひチャレンジしてみてください。
答え (A) は、次のポイントにあります。 何問正解できるかな?
Q1
この先の左側に 「水たまり」が見えます。
深さはどのくらいあるでしょうか?
➀1m ②2m ③3m以上 |
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412温根内周辺の植生 Flora around Onnenal
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温根内の周辺は、ヨシスゲ湿原 (低層湿原)、 ミズゴケ湿原(高層湿原)、ハンノキ林
、丘陵地の林などで成り立っており、 釧路湿原の主な植生を観察できます。
これから先の図鑑にそれぞれの説明がありますので、参考にして下さい。 |
ヤチボウズ・ヤチマナコ
ヤチマナコ
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ヨシ・スゲ湿原の中に、小さな水面がぽっかり開いているところがあります。これは「やちまなこ゜(谷地眼)」と呼ばれています。「やち」は湿原をいい、
水面が光る様が瞳のようなところからその名がついたと言われています。
水面の大きさに比べて、水深は深く、横から見ると図のように口のすぼまった壺形になっていて夏には水草で水面が隠れることもあり湧水などの水の流れと泥炭との関係で様々なものができます。 |
ヤチボウズ
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丘陵地に近い沢地やハンノキ林に、写真のようなものがたくさん見られます。これは「やちぼうず(谷地坊主)」と呼ばれ、スゲ類等の株が図のような過程でできたものです。いろいろな生き物のすみかにもなっています。
➀スゲ類が繁茂し て株をつくる。
②冬、地面が凍 結して持ち上 げられる。
③翌春、古株の上に新しい株が生い茂り、
④根もとは雪解け水でえぐられる。
⑤毎年こ の作用がくり返され、 ヤチボウズが生長 する。 |
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413ハンノキ林
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ハンノキ林(ヤチハンノキ) Alder forest (Yachihannoki)
湿原内で見られる唯一の樹林がハンノキ林です。 湿原の周りの丘陵地から流れ込んでくる土砂や、川が運んでくる土壌が堆積した場所に林をつくります。 |
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ハンノキの萌芽更新 Regeneration of Japanese alder by sprouting
このあたりのハンノキを見ると、その多くは、枯れた一個の古い根株から数本の幹が出ているのがわかります。
養分が少なく、 生育条件の厳しい泥炭地では、20~30年しか生長することができず、 幹が立ち枯れてしまいます。 そして残った根株から再び数本の芽を出し、 新しい幹が成長します。
これを萌芽更新といいます。 |
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414ヨシ・スゲ湿原
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温根内木道を進むと、背の高い草が木道にかぶさるように広がっている一帯と1m以下の低い草が広がっている一帯があります。どちらも下を覗くとミュ水浸しの状態ですが、生育地はあまり重なっていません。水の深さや透明度なども違っています。
背の高い方がヨシで低い方がスゲ類、水の下に堆積するぞ土壌で(泥炭)や地下水の状況等で優先する植物が違ってきています。
ヨシ湿原は、河川の氾濫等で供給された土壌や有機物によってやや富栄養状態の湿原で、最も広がりを見せています。
スゲ湿原は、かつての池塘の中央部也旧級河川のふちなどに広がる湿原で、水位が高く、日光が通りやすいこともあって湿原の花にとっても群落を形成しやすい環境にあります。温根内の代表的な花、ミツガシワやハナタネツケバナ、トウヌマゼリ、サワギキョウ、タヌキモなどは、このスゲ湿原を彩る花々です。 |
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泥炭 (ピート) Peat
ヨシスゲ湿原の水の下、 ミズゴケ湿原のミズゴケの下には、 泥炭や火山灰が層をなしています。
泥炭は枯死した植物体が完全には分解されずに積もったもので、水が多く、冷涼な環境のところにつくられるもので、 構成される植物などでいろんな泥炭
(地) があります。
泥炭を乾燥させて燃料にしていた時代もありました。
ヨシ Fen
ヨシはイネ科の多年草で、もともと葦(あし=蘆・葭・芦)とよあしはらのなかつ くにといわれていました。 日本の古名に 「豊葦原の中つ国」とあ
るように、水の豊かな風土の原風景ともいえる植物です。 釧路湿原では、生態系のトップにあるタンチョウがヨシ原に依存しているように、 ヨシの根茎に共生する微生物か
らスタートする生物相が生物の多様性を支えているともいえます。
最近では、水質の浄化の働きにも注目されています。 |
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スゲ Sedge
湿原のスゲといえば、認知度でナンバー1なのはワタス ゲと思われますが、ホタルの翔ぶころスゲ湿原に白く浮か ぶサギスゲも目立ちます。
スゲはカヤツリグサ科の多年草(一部一年草)で、釧路湿 原で60種以上、この木道でも15種以上が確認されてい ます。
花も実も地味なものが多く、ワタスゲのように実が綿毛 状になるのは一部の仲間だけですが、 ヤチボウズをつくる カブスゲ、 オオアゼスゲなどや、
1m以上に伸びるオオカサスゲ等々景観的だけでなく、ヨシと 同様に湿原環境を支えている重要な植物といえます。
スゲ類の茎は中身があって三角形、 ヨシなどイネ科の程 (茎) は中空の円柱形、 触れて確認し てみてください。 |
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415湿原の成り立ち
釧路湿原の
成り立ち |
約2万年前
最後の氷河期の時代、海面は現在より低く、現在の湿原域は陸地でした。 |
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1万~6千年前
陸地に海水が入り込み、現在の湿原域は海となりました。(縄文海進) |
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6千~4千年前
海水が引き、土砂や泥炭などが溜まり、湿原ができ始めました。(縄文海退)また、西高東低の地盤運動により、西側から陸化が始まりました。 |
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現在
約3千年前に海跡湖を残して現在の湿原の姿になりました。 |
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氷河期からの生き残り
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約2万0年前の氷河期、気温が下がり大地と陸続きになったために、多くの北方系の動植物が南下しました。
その後、約1万年前に氷河期が終わり気温が上がると、それらの動植物は生息できなくなり、今では高山帯や釧路湿原など、涼しい気候の地域に生き残るのみとなりました。
釧路湿原の湿原域の減少や、湿原の植生の変化は、これら釧路湿原固有の生物の生存に大きく影響しています。また、最近は地球温暖化の影響も懸念されています。 |
氷河期からの生き残り |
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キタサンショウウオ |
キタサンショウウオ Siberian salamander
キタサンショウウオは北方系の種類で、日本では 釧路湿原だけに生息しており、 絶滅に瀕している種 でもあります。このため一部の生息域は釧路市の天 然記念物に指定され、 保護の取り組みがなされてい ますが、 その生態はなお不明なことが多く、 釧路湿 原周辺の湿原域の減少により、 生息数の減少が危ぶ まれています。
出典: 釧路湿原自然ガイド Source: Kushiro Shitsugen Shizen Guido (Kushiro Wetlands
Nature Guide)
※シベリア山椒魚だって。北海道がシベリアから分離した時にくっついて来たのか。自分で歩いては来られない。
沖縄の水ヘビと同じ。過去の地殻変動を示すものなのだろうか。
カザフスタンに分布とあるから、超過去から北海道地塊と共に移動してきたようだ。凄い。 |
ミツガシワ
寒地性植物の代表 格で、
北半球の冷涼 な湿地や湖沼に見られます。 |
ハナタネツケバナ
サハリン以北に分布の中心をもつ寒地性植物で、
霧多布湿原などにもみられます。 |
エゾカオジロトンボ
昭和29年に発 見された北海道固有亜種で、
釧路湿原 だけに生息しています。 |
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湿原クイズ Q&A
Q6
タンチョウは白いイメージが強い美しい野鳥です。
では、タンチョウの姿で正しいのは、どれでしょうか?
A5 ( Q5 の答)
➀海の中でした。左のページを参考にして下さい。 |
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416ミズゴケ湿原
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6タンチョウ Red-crowned Crate
タンチョウは、現在は釧路湿原のシン ボル的な存在といえますが、一時日本では絶滅したと思われていました。
1926年に釧路湿原で生息が確認 され、1952年に大規模な調査が行わ れ33羽が確認されました。 以来、保護 活動が地元を中心に進められ、
現在は千 羽を超えるまでに増えました。 生息地も 広がり、 釧路湿原だけでなく主に道東の 湿地を営巣地としています。
この探勝道の周りでは、1つがいがテリトリーを持っています。 |
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湿原クイズ Q&A
Q7釧路の年平均気温は何℃でしょうか? (東京は 15.9°C)
➀1.0℃ ②6.0℃ ③11.0℃
A6 (Q6答)
➀です。写真(立ち姿) で見られる尾の黒い部分は、実は風切羽 (次列風切、三列風切)で、翼をたたむと白い尾を隠してしまいます。 |
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湿原の光 ホタル |
湿原の光 ホタル Light of the Wetlands
この木道では、夏の短い間 「ヘイケボタル」を観察することができます。
北海道から九州まで分布している体 長 8~10mmの小型のホタルで、釧路 湿原では、7月中旬から8月上旬に成虫 の発生が見られ、多くの人が夜の散策に 訪れます。 |
湿原の食虫植物 |
釧路湿原の食虫植物たち Insectivorous Plants of the Kushiro Wetlands
釧路湿原では4種の食虫植物が自生しており、 そのうち2種がこの木道沿いに見られます。
Four types of insectivorous plants grow naturally in the Kushiro Wetlands, of which two can be seen along this wooden path. |
タヌキモ |
タヌキモ Utricularia vulgaris var. japonica
葉に小さな補虫嚢(ほちゅうのう)をもち、水 中の小さなプランクトンなどを捕らえて栄養にしています。 7~8月に黄色い花を水面上に咲かせます。 |
モウセンゴケ |
モウセンゴケ Round-leaved sundew
葉には粘った多数の 赤い腺毛(せんもう)が あり、それで小さな虫を 捕らえます。 ミズゴケ湿 原に生育し、 7月ころ小 さな白い花をつけます。 |
ミズゴケ湿原
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ミズゴケ湿原は、周辺水位より高いところに位置する泥炭上に作られ、1年に1ミリほど堆積するミズゴケは雨水から水分と養分を得ています。
そのため栄養が乏しく、厳しい環境下でも育つ高山植物の群落が広がるなど、釧路湿原の中でも特殊な一帯となっています。
よく見るとミズゴケの広がりは一様ではなく、いろいろなミズゴケが凹凸を作っていて、その高低の中に植生の違いを発見できます。 |
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420 |
421ヤチボウズ湿原
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422ミズゴケ湿原 |
422野鳥
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※1 一口メモ
季節による野鳥の移動
野鳥の多くは、季節によって移動します。
そこで、繁殖の ため春に南から渡来し、 秋に去るのは「夏鳥」、 越冬のため冬 に北から渡来し、 春までに帰るのは「冬鳥」、 一年中同じ地域で過ごすのを
「留鳥」 といっています。 (季節により山地から低地に移動するのは「漂鳥」。)
同じ野鳥でも地域によって異なることもあります。 例えば、ウグイスやアオサギなどは、 釧路湿原では夏鳥ですが、本州などでは留鳥です。 |
夏に温根内周辺でよく見られる鳥たち
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ハリオアマツバメ
アマツバメ科
ノゴマ ヒタキ科
ノビタキ ヒタキ科
ショウドウツバメ ツバメ科 |
シマアオジ ホオジロ科
オオジュリン ホオジロ科
ヒバリ ヒバリ科 |
チョウヒ タカ科
アオサギ サギ科 |
エゾセンニュウ センニュウ科
キジバト ハト科
アオバト ハト科 |
おもに秋から春にかけて見られる野鳥
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ヒシクイ 力モ科
ツグミ ツグミ科
ミソサザイ ミソサザイ科
ヒヨドリ ヒヨドリ科
オオハクチョウ 力モ科 |
ノスリ 夕力科
オジロワシ 夕力科
オオワシ 夕力科
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424ミズゴケ湿原
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426外来生物
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9 釧路湿原の特定外来生物 Invasive alien species in the Kushiro Wetland
外来生物とは?
もともとは外国で生息していた生き物たちが何らかの理由で日本にやってきて 定着したものを「外来生物」 と呼びます。 明治時代以降、 約2000種類の外来生物 がいると言われています。
外来生物の中でも、もともとその場所にいた生物 (在来生物) の住みかを奪った り、食べてしまったりして特にその場所の生態系に影響を与える外来生物を「特定 外来生物」 と呼んでいます。
これら 「特定外来生物」 は釧路湿原でも増加しており、生態系に影響を与えています。
ウチタザリガニ Signal crayfish
北アメリカ原産で、魚の餌として日本に持ち 込まれたとされています。 様々な小動物を捕獲 したり、 水草を切断するほか、 在来生物である二 ホンザリガニの生息に影響を与える恐れがある とされています。 釧路湿原一帯に広く生息して おり、食用にもなります。 |
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アメリカミンク American mink
北アメリカ原産で、 昭和初めに毛皮採取の目的で日本に持ち込まれました。 その後、 毛皮工場か
ら脱走したもの等が釧路湿原一帯で繁殖・増加しています。 在来生物の捕食やタンチョウのひな などへの影響も懸念されています。 カヌーなど 行っている際にもまれに見ることができます。 |
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セイヨウオオマルハナバチ Buff tailed bumblebee
ヨーロッパ原産で、作物の花粉媒介を行う目的 で日本に持ち込まれました。 在来のマルハナバチ の営巣や餌資源の確保に影響を与える恐れがあ るとされています。 春~夏を中心に釧路湿原に咲 く花の蜜を集めるために湿原を飛び回ります。 |
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オオハンゴンソウ Golden glow
北アメリカ原産で、 観賞用に日本に導入されました。繁殖力が強く、 在来の植物の生息環境に
取って代わり生息域を拡大しています。 7月~ 10月に花を咲かせ、 釧路湿原では特に道路脇や 釧路川周辺に多いです。 |
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※2一口メモ
外来生物法
正式には「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」といい、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止することを目的としています。
この法律によって、指定された特定外来生物の飼育・栽培・保管・ 運搬・野外に放つことは原則として禁止され ています。 釧路湿原に 住む生き物達を守るた めにご協力をお願いします。 |
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427草原
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428植物
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10 鶴居軌道跡でみられる樹木 Trees Seen on the Tsurui Railroad Track ruin
※➀湿原の中の樹木はハンノキがほとんどですが、この 軌道跡では様々な樹木が見られます。 |
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カエデの仲間
紅葉 (もみじ) の葉
イタヤカエデ カエデ科
ヤマモミジ カエデ科
カラコギカエデ カエデ科 |
ヤナギの仲間
オノエヤナギ
ヤナギ科 |
ヤナギの仲間
オノエヤナギ、 エゾノキヌヤナギ、イヌコリヤナギ、 ネコヤナギなどいろいろな種類のヤナギがあります。 |
いろいろな果実
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いろいろな果実 Various fruits
これらの果実は、多くの鳥やリスなどの食べ物となっています。
ヤマブドウ ブドウ科
ミズナラ ブナ科
ミヤママタタビ マタタビ科
サルナシ(コクワ) マタタビ科
オニグルミ クルミ科 |
こんな樹木も見られます
ケヤマハンノキ カバノキ科
エゾヤマハギ マメ科
シナノキ シナノキ科 |
エゾヤマザクラ バラ科
ハシドイ モクセイ科
ヤチダモ モクセイ科 |
エゾノコリンゴ バラ科
マユミ ニシキギ科 |
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※②一口メモ 紅葉の不思議
なぜ秋になると葉は色を変えるのでしょう?
冬が近くなり、 気温が下がると葉を緑色にみせる色素が 壊れ、隠れていた黄色の色素が目立って葉が黄色くなります。
一方、 落葉樹は葉を切り離すために、葉と枝の間に徐々にしきりができます。このため光合成でできる糖分が葉にたまり、赤い色素がつくられ紅葉となります。 茶色になる 葉は茶色の色素がつくられるためです。 |
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430 |
431湿原と木道風景
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432釧路湿原探勝歩道(旧鶴居軌道跡)
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「鶴居軌道跡に見る歴史
温根内から北斗まで湿原に沿ってまっすぐ伸びている歩道は、鶴居軌道を撤去した跡につくられたものです。
鶴居軌道は、簡易軌道 (殖民軌道馬力線) として昭和3年(1928) 釧路駅の西隣り「新富士」駅から、現在の鶴居村「中雪裡」間に開通しました。開通当初は、動力源として馬や自動車エンジンを改造したガソリン車が、戦後になってからはディーゼル機関車が使用されました。
当時は、生活物資、農産品の運搬や地域の人々の移動手段として活躍していましたが、その後、道路整備が進むにつれ、バスなどの他の交通機関にその役目を譲りました。そして、昭和43年(1968)に全面廃止となり40年におよぶ歴史に幕を降ろしました。
※簡易軌道:北海道だけに存在し、開拓・入植にあたって根釧原野や宗谷地方を中心に、道路建設が困難な泥炭地などで道路に変わる交通手段として使用されたものです。 軌間は762mmと現在の1067mmに比べ狭くなっております。 |
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➀創業当時の馬鉄。 陶磁器「馬トロ」と呼ばれ、農耕馬が台車をひいていました。(昭和4年)
②バス改造ガソリン車。戦時中には燃料に木炭も利用されました。(昭和17年)
③昭和39年頃の修学旅行出発風景。ディーゼル機関車・無蓋トロッコ・自走客車の三両編成。写真提供鶴居村 |
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433
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435留鳥
14一年中温根内で見られる鳥たち
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※➀ 一口メモ 野鳥の歌、 さえずり
野鳥の鳴き声は様々ですが、 多くの小鳥の歌声は 「さえず り(囀)」 といって、 昔の人々に愛されてきました。
「さえずり 」 はほとんどがオスが歌うもので、 留鳥の多く は2月頃から歌い出しますが、 夏鳥は繁殖地に着いてから になります。 メスを呼び寄せたり、 求愛をするためや、 なわ ばりを知らせるために鳴くもので、繁殖期である春に集中 しています。
さえずりと違った短い単純な声は 「地鳴き」 といって、 警戒や恐怖、仲間との会話などに使っています。 |
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ハシブトガラス シジュウカラ科
ヒガラ シジュウカラ科
シジュウカラ シジュウカラ科 |
シマエナガ エナガ科
キバシリ キバシリ科
ゴジュウカラ ゴジュウカラ科 |
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ヤマゲラ キツツキ科
アカゲラ キツツキ科
コゲラ キツツキ科
コアカゲラ キツツキ科 |
カワセミ カワセミ科 |
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エゾフクロウ フクロウ科
トビ タカ科
ミヤマカケス カケス科 |
ミヤマカケス カケス科 |
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436温根内木道周辺案内図
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釧路湿原国立公園
440温根内ビジターセンター
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国立公園について About National Parks of Japan
日本を代表する自然の風景地を、「国立公園」として国が指定し、管理しています。山岳、森林、湖沼、湿地、海浜、サンゴ礁など、国立公園にはそれぞれ特色があります。豊かな自然景観や動植物を守り、
次の世代に引き継いでいくこと、訪れた人々に日本の美しさを伝え、 楽しんで もらうことが国立公園の役割です。 日本の国立公園の大きな特徴は、区域内に多くの人々が住み、生活が営まれていることで、
自然と調和した農林漁業の風景も、公園の景観要素の一部 となっています。
National parks are the representative natural scenic sites of Japan designated
and managed by Japanese government. Each national park has its own characteristics,
such as mountains, forests, lakes, marshes, beaches, and coral reefs. The
roles of national parks are protecting abundant natural landscapes and
flora and fauna, passing them on to the next generation,showing visitors
Japan's beauty of nature, and having them enjoying it. The big feature
of national parks of Japan is that many people lives within national park
areas. Therefore, scenes of agriculture, forestry, and fisheries in harmony
with nature are part of the landscapes in the parks. |
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441日本の国立公園 National Parks in Japan
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2017年現在、 日本には34カ所の国立公園があり、その総面積は21,907km2で、日本の国土面積のおよそ5.8%です。日本で最初の国立公園は、1934(昭和9)年指定の瀬戸内海、雲仙(現「雲仙天草」)、霧島
(現「霧島錦江湾」)の3カ所です。
As of 2017, there are 34 national parks in Japan and their total area is 21,907km2, which is 5.80% of Japan's total land area. Setonaikai National Park, Unzen
National Park (currently Unzen-Amakusa National Park), and Kirishima National
Park (currently Kirishima-Kinkowan National Park) are Japan's first three national parks, which were designated in 1934.
1 利尻礼文サロベツ
2 知床
3 阿寒摩周
4 釧路湿原
5 大雪山 6 支笏洞爺
7 十和田八幡平
8 三陸復興
9 磐梯朝日
10 日光
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11 尾瀬
12上信越高原
13 秩父多摩甲斐
14 小笠原
15 富士箱根伊豆
16 中部山岳
17 妙高戸隠連山
18 白山
19 南アルプス |
20 伊勢志摩
21 吉野熊野
22山陰海岸
23 瀬戸内海
24 大山隠岐
25足摺宇和海
26 西海
27 雲仙天草
28 阿蘇くじゅう
29 霧島錦江湾 |
30 屋久島
31 奄美群島
32やんばる
33 慶良間諸島
34 西表石垣
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北海道の国立公園
1利尻礼文サロベツ国立公園 National ParkTM
指定: 1974(昭和49)年9月20日 面積: 241.66 konl 21 FLAS 利尻岳がそびえ立つ利尻島、 高山植物が群生する礼文島、湿原植物が豊かなサロベツ原野の 湿原と砂丘林で構成された日本最北の国立公園です。 海上にそびえ立つ利尻岳をサロベツ 原野の向こうに望むなど変化に富んだ景観が魅力です。
2 知床国立公園 Shiretoko National Park
指定: 1964(昭和39)年6月1日 面積: 386.36 kml
流氷がもたらす養分が育む海の恵み、上したサケ類をヒグマが捕食することによる海~川 ~森の生態系のつながりが特徴で、ヒグマ、オオワシ、トドをはじめ多くの野生生物が生息します。 このことが世界的に評価され、2005年7月に世界自然遺産に登録されました。
3 阿寒摩周国立公園 Akan-Mashu National Park
指定: 1934(昭和9)年12月4日 面積: 914.13konl
公園内の多くは針葉樹林を中心とする熱に扱われています。 雌阿寒岳をはじめとするいくつもの火山と、 マリモが生育する阿寒湖、霧と透明度で有名な摩周湖などの湖沼が近接
して美しい景観を織りなしています。
4 釧路湿原国立公園 Kushiroshitsugen National Park
指定: 1987(昭和62)年7月31日 面積: 287.88 kml
釧路湿原は日本最大の湿原です。 2000種以上の動植物が生育し、 タンチョウや日本最大の淡水魚イトウも生息する生命の宝箱です。蛇行しながら湿原を育む釧路川では、カヌーツー
リングも人気です。
5 大雪山国立公園 Daisetsuzan National Park
指定: 1934(昭和9)年12月4日 面積: 2267.64 kml 日本最大の国立公園で、旭岳や十勝岳などの火山群を持つ山岳公園です。 ヒグマやナキウサギ
も多数生息し、2000mを超える山々には高山植物群落が広がっています。秋の紅葉シーズン には多くのハイキング客が訪れます。
6 支笏洞爺国立公園 Shikotsu-Toya National Park
指定: 1949(昭和24)年5月16日 面積: 994.73 kall
羊蹄山、有珠山、昭和新山などの火山や、支笏湖と北限の不凍湖としても有名な洞爺湖のカルデラ湖の景観を見ることができます。 火山帯であるため登別をはじめ温泉も多く、
保養地と しても人気の国立公園です。 |
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442釧路湿原国立公園インフォメーション
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443湿原の成り立ち
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湿原の概要
湿原は、水分の多い場所で、枯れた植物が長い間分解されず に積み重なってできた 「泥炭」 の上に広がる草原です。 雨が 降れば泥炭が水を吸収し、
雨が降らない日が続けば泥炭から 水がしみ出す働きから、 天然の貯水池とも言われます。 群生 する植物は二酸化炭素を吸収し、泥炭や植生は動物の餌や生息環境となります。
一方で、湿原は一度破壊されると簡単には元に戻らないことから、最も壊れやすい自然と言われています。 |
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釧路湿原の特徴
釧路湿原は、周りを段丘状の丘陵地に囲まれ、海側には土手状の砂丘地があり、浅い盆地状をなしています。
地表面から1~4mには、枯れた植物が積み重なった泥炭と、火山灰 や泥、砂などが混じる地層があり、その下は貝などの化石を 含む地層になっています。
海に近い釧路湿原では一年を通して霧が発生しやすく、夏の移流霧(海霧)、秋の放射霧、冬の蒸気霧 (川霧、けあらし)などが頻繁に発生します。 |
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釧路湿原の特徴 |
釧路湿原の成り立ち |
湿原の概要
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コッタロ湿原展望台
釧路湿原の大きな蛇行 |
立体地形図 |
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444湿原の植生
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湿原は大きく分けてヨシ・スゲ湿原とミズゴケ湿原に分類されます。ヨシ・スゲ湿原は地表面が地下水面とほぼ等しく、栄養を多く含んだ河川水やわき水で常に潤されている湿原で、低層湿原とも呼ばれます。
ミズゴケ湿原は高層湿原とも呼ばれ、枯れた植物(泥炭)がさらに厚く積み重なり、植生表面が地下水面よりも高く盛り上がった湿原で、雨水や霧だけで潤されます。ミネラル分などの栄養が少ない環境でも育つミズゴケが地表面を覆い、その上に高山植物のなかまが生育します。
また丘陵地に近いヨシ・スゲ湿原には、湿原内でも生育できる特殊な樹木であるハンノキが林をつくり、温原景観にアクセントをつけています。 |
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釧路湿原の川と植生
屈斜路湖を水源とする釧路川をはじめ、周囲の湖沼や山を源とした大小
の川が釧路湿原内を網の目のように流れ、湿原に水を運びます。周囲の
丘陵地との境目には無数のわき水が流れ出て、湿原を潤しています。
釧路湿原内の川は時折河道を変え、しばしば地表の泥炭を洗い流します。
そのため、釧路湿原はミズゴケ湿原が発達しつらく湿原面積の約8割が ヨシ・スゲ湿原のまま維持されています。
釧路湿原が水を集める範囲は広大で、この豊富な水によって「水の大地」 釧路湿原が支えられているのです。 |
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温根内地区の高層湿原
釧路湿原の中でミズゴケ湿原は全体の約2割とされ、最も大規模なものは温根内の近くの赤沼付近にあります。 釧路湿原の中で唯一高層湿原を間近で見られるのが温根内木道です。
温根内木道では、丘陵地に続くハンノキ林から、ミツガシワやカキツバタを交えたヨシ・スゲ湿原を通り、イソツツジなどの高山植物が見られるミズゴケ湿原へと、タイプの異なる湿原植生を楽しむことができます。
このミズゴケ湿原は、 「鶴居村観光 10景 温根内高層湿原群落地」に選ばれ、親しまれています。 |
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湿原の動物たち
釧路湿原に暮らす多様な動物
釧路湿原にはたくさんの動物が暮らしています。 これまでに確認された動物の種数は、 哺乳類 39 種、 鳥類約200種、爬虫類5種、両生類4種、
魚類 38 種 昆虫類約1100種にのぼります。 その中には、釧路湿原の代名詞であるタンチョウ、大型猛禽類のオジロワシやオオワシ、 日本最大の淡水魚で
あるイトウ、 北海道東部のみに生息するエゾカオジロトンボなどの希少種も含まれます。
広大で豊かな自然環境が維持されている釧路湿原は、希少種 にとっても貴重な生息環境となっているのです。 |
湿原の動物たち |
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オジロワシ・オオワシ・オオジシギ
イトウ・エゾカオジロトンボ・エゾクロテン |
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氷河期の生き残りキタサンショウウオ
キタサンショウウオは、日本では釧路湿原と国後島のみに分布し、 氷河期の生き残りとされています。 暗褐色の体の背面には太い黄色帯が入り、腹面には青灰色の小斑点が散らばっています。
湿原内の水辺に産み付けられたばかりの卵嚢(卵の入った袋) は 青白く輝き、湿原のサファイアと呼ばれます。
北海道で広く見られるエゾサンショウウオは平地から山地まで 分布していますが、 キタサンショウウオは湿原環境のみで見られ、 同じ場所で両種が見られることはほとんどありません。
成体は全長11~13cmほどで、エゾサンショウウオと比べて 小型です。指の数は前後の足ともに4本ずつで、後ろ足指が エゾサンショウウオ 5本となるエゾサンショウウオとは異なります。 |
氷河期の生き残り
キタサンショウウオ |
キタサンショウウオ |
エゾサンショウウオ |
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445タンチョウ
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湿原の神タンチョウ Red-Crowned Crane, the God of the wetland
釧路湿原を代表する鳥、 タンチョウは、アイヌ語で「サルルンカムイ」=湿原の神様と呼ばれます。 純白と黒の羽をもち、 頭頂部の赤がアクセントとなる美しい姿は、古くから東アジアを中心に縁起のよいものとして扱われてきました。日本のタンチョウの生息数は、
江戸末期から明治にかけて農地開発や乱獲などにより減少し、一時は絶滅したと考えられていましたが、 1924(大正13)年に鶴居村で再発見され、
その後の鶴居村での保護活動や釧路市丹頂鶴自然公園での自然ふ化・類 (VU) に指定されています。
人工ふ化により、個体数を回復してきています。 絶滅危惧II ※当時は開村されていません |
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タンチョウの一年
3月頃タンチョウの成鳥は繁殖活動に入り、4月に なると巣を作り子育ての準備をします。 多くの場合 つがいは一生を共に過ごし、子育ても協力して行い
ます。 4月中旬から6月にかけて卵からかえった ヒナは、両親と一緒に湿原で育ち、冬が終わる頃に 親離れします。 野生のタンチョウは、夏場には運が
良ければコッタロ湿原展望台などで見ることができます。 冬には鶴居村や釧路市阿寒町の給餌場とその周辺で見られます。 |
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湿原の神タンチョウ |
丹頂の飛形
冬の丹頂 |
タンチョウの一年 |
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446釧路湿原が出来るまで
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釧路湿原ができるまで
釧路湿原は太古の昔には海でした。 6000年前に海岸だったとみられる場所には、貝塚など縄文人の暮らした跡を示すものが多数見つかっています。
海が後退した後、土砂の堆積と淡水化が進み、3000年ほど前に湿原が誕生した と考えられています。 釧路湿原は西側が高く東側が低いという地形から、東部に河川や湖が集まっています。
これらの湖には、この場所が海だった名残として、海に住むオキアミの仲間、 クロイサザアミが生息しています。 |
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447湿原の移り変わり
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➀約2000万年前
最後の氷河期の時代、海面は 現在より低く、湿原は陸地だった。
②1万~6千年前
陸地に海水が入り込み、現在の湿原域は海になる。(海進)
③6千~4千年前
海水がひき、土砂や泥炭が溜まり、しつつ減が出来始める。(海退)
④約3千年前
海跡湖を残し、現在の湿原の姿となる。 |
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約2万年前
1万~6千年前 |
6千~4千年前
約3千年前 |
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448
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温根内木道から見られる代表的な植物
温根内木道からは、釧路湿原に自生している特徴的な植物を観察すること ができます。ミズゴケ湿原では、こんもりともりあがったミズゴケの上に、 ツルコケモモ、イソツツジ、ヒメシャクナゲなどが花を開きます。 ヨシ スゲ湿原の水辺には、 ヒメカイウ、ミツガシワ、 タヌキモなどの湿性植物 が見られ、丘陵地側ではハンノキ林が形成されています。 春から秋まで 季節ごとにうつろう花々が楽しめます。 |
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春(4~5月) |
初夏(6~7月) |
夏(7月下旬~8月) |
秋(9月) |
エンコウソウ |
ハナタネツケバナ |
カキツバタ |
ウメバチソウ |
カブスゲ |
ミツガシワ |
トキソウ |
サワギキョウ |
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ヤチボウズができるまで
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ヤチボウズ Yachibozu
釧路湿原の周りを歩くと、つぼを伏せたような草の かたまりを目にします。 カブスゲなどのスゲ類の株が 地表から持ち上がってできたものです。スゲは積み、 重ねるように地下茎を伸ばします。 冬は地面が凍結 して株ごと地表が持ち上げられ、 春には雪解け水が株 の根元の土を削り取っていきます。 このサイクルを 繰り返しスゲ類の株が成長していきます。湿原はヤチ
(谷地、野地)とも呼ばれます。 株の形が坊主頭に見え るので、「ヤチボウズ」と呼ばれるようになりました。 |
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➀菅類が繁殖して株をつくる。
②冬地面が凍結して(霜柱で)持ち上げられる。
③~⑤翌春、(持ち上げられたままの)古株の上に新しい株が生い茂り、根元は雪解け水で抉られる。
⑥毎年この作用が繰り返され、ヤチボウズが成長する。 |
ヤチボウズ
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ヤチボウズができるマテ |
ヤチボウズ |
出来るまで
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断面標本
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449ヤチマナコ
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うえを見てみよう!
ヤチマナコは底なし沼 ?Is Yachimanako a bottomless swamp?
ヤチマナコの水面の幅は1m前後ですが、穴の中はつぼ状に広がっていて、底面は枯れた植物が堆積し、落ちるとズブズブと下に埋まってしまいます。
このは底面は偽底(ニセの底)と言って本当の底ではなく、さらに泥底の下に土砂でできた真底(=本当の底)があります。 牛や馬が落ちてしまうと抜け出せなくなり、白骨化して見つけられたということもありました。水面から真底までは3~4mに及ぶものもあります。
温根内木道沿いにも見られます。ヤチマナコを見つけたら棒をさして深さを確認してみましょう。 |
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ヤチマナコ |
この白い空間は、
ヤチマナコの水中を
表現しています。 |
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ヤチマナコ Yachimanako
「ヤチマナコ」はヨシ スゲ湿原の中で、 水面に陽の光があたりきらきらと輝いてまるで「湿原の瞳」に見えることから、「ヤチ (谷地=湿原)」の 「マナコ
(眼)」 と呼ばれるようになりました。 川や湖沼が次第にヨシやスゲ類に覆われていく中で、 植物に埋まりきらずつぼ型に残った水たまりです。ヤチマナコに溜まる水は地下の泥炭を通ってくるため、
少し温かく冬も水の中は凍りません。 ヤチマナコの周囲ではカキツバタやクロバナロウゲなどが見られます。 |
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451木道で出会う動物たち
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木道で出会う動物たち Animals you can see on the wooden path
釧路湿原に住む多様な動物の一部は、木道から姿を見ることが出来ます。 オジロワシやタカ類が頭上を飛び、 雑 木林ではキビタキやゴジュウカラなどの野鳥が見られ
ます。 ハンノキ林の中ではキタキツネやエゾシカが通り 過ぎていく場面が見られます。 木道付近で繁殖を行う タンチョウもおり、ヒナを連れた姿が見られることもあります。
エゾユキウサギなど夜行性の動物は、姿を見ることは困難ですが、 雪の季節にはふんや足跡などの痕跡を見つけることができます。 |
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タンチョウ
エゾシカ |
エゾユキウサギ
キタキツネ
エゾタヌキ |
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500釧路市丹頂自然公園
有名な鶴居村でも、湿原でも、タンチョウは冬場の渡り鳥です。
しかし、ここでは、通年タンチョウが生息しており、この日は幼鳥もみられました。 |
510
タンチョウ自然公園
季節外はここで見られる |
生態 |
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タンチョウ生息域
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■生息域
大陸では1600羽ほどが、 中国とロシア の国境を流れるアムール川流域で繁殖し、 秋になると朝鮮半島の非武装地帯や中国の 長江へ渡って冬を越します。
日本では北海道東部を中心に1200羽ほ どが生息しています。 夏は十勝から根室の 海岸沿いの湿地で繁殖し、冬は釧路周辺の 給餌場で過ごします。 |
丹頂生活史 |
3~4月
湿地に広い縄張りを 構え、ヨシなどの植物をくちばしで刈り集めて、 直径1~1.5m、高さ20~30cmの巣を作ります。
1~3月
2羽のツルは羽を広げて飛び上がったり、 追いかけあったり、 「タンチョウの舞」(求愛ダンス) が見られます。
1~2月
子別れの季節です。「これからはひとりで暮らすんだよ!」。 もう親についていくことはできません。
11月~2月
阿寒町1ヶ所、鶴居村2ヶ所で国としての 給餌を行なっています。 多くのツルが昼は ここで餌を食べ、夜は川の中で眠ります。 |
4~5月
2日ほどの間をあけて2個の卵を産み、 交代で温めます。 32日間抱くとヒナが かえります。
5~6月
卵や小さなヒナはトビやカラス、キツネ、ミンクなどにねらわれます。2羽のヒナを育てるのは大変です。
7~9月
生まれたときの 体重は140g、3ヵ月後には6kgと 親に近い大きさにな り、飛ぶ訓練が 始まります。
10月
刈り取りの終わった トーキビ畑には 落ちた実を食べている家族の姿があちこちで見られるように、なります。 |
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谷地坊主 |
釧路市指定天然記念物 谷地坊主 (ヤチボウズ)カブスゲなどのスゲ類が湿地に繁茂して株をつくったものです。
凍結と雪解けの繰り返しによって 土壌がえぐり取られ、 株だけが大きくなって独特の景観をつくります。
多くの動植物にとっては貴重な生活の場となっています。 |
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530タンチョウヅル
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