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 北海道の縄文 №23  2022.06.10-3

  女満別研修会館二階
   女満別郷土資料室 北海道網走郡大空町女満別西3条3丁目1-4
    0152-74-2483 火曜休館撮影可

   東藻琴生涯学習センター郷土資料室は0152-66-2010

 館の特徴
・大規模な石刃文化の資料室で、ほぼ全てが縄文早期の石刃で埋まっています。

・女満別町は2006年に東藻琴村と合併して、大空町と改名しました。
旧女満別町の考古・郷土資料は女満別研修会館2Fにあり、考古資料室と民具・剥製室がある。
東藻琴村の考古資料東藻琴生涯学習センター郷土資料室に展示しています。(2021.9.4open)
訪問時には東藻琴の資料室を知らず、女満別に行きましたが、東藻琴が必須の訪問場所でした

交通 ・レンタカー ・女満別空港からタクシーやレンタカー
近隣観光地 ・知床観光、網走周辺、阿寒・屈斜路・摩周湖周辺
摩周湖YHはとても便利で清潔な宿でした。☆☆☆☆☆
近隣博物館 知床周辺・網走周辺・白滝周辺
宿泊情報 知床・サロマ湖・三湖周辺は高額(3万)、網走には手頃もあり(5千)。(2022年)
私の場合摩周湖ユースホステルが最高でした。易くて清潔親切。便利。
 
 目次


はじめに
01斜里→網走
02濤沸湖
03網走→女満別
05研修会館外観
06郷土資料室
08展示配列

10縄文早期
50縄文中期
80母岩
90縄文早期石刃
100縄文早期石刃
110石刃
120早期石刃石器
140早期豊里石刃遺跡
150豊里石刃遺跡
160剥片・石刃石器
170剥片石器

180早期の石器
200早期土器石器豊里
210装具
250早期女満別式土器
※研究 女満別式土器
※研究 型押文とは何?
260擦文土器
260縄文中期
270縄文後期 彫器
280縄文後期
285縄文後期
290前北式土器
300擦文文化
 
 

はじめに
 女満別郷土資料室(石刃鏃資料室)の展示にはキャプションや説明パネルが大変少なく、女満別地域の歴史を知ることができません。
2006年に女満別町は東藻琴村と合併し、大空町となりました。歴史を知るために大空町のホームページを引用させていただくことにします。
 考古資料館は東藻琴学習センター内に郷土資料室があり、通常の考古展示がなされているようです。
 今年は夏場だけ、関空⇔女満別空港の綸旨路線があるので、秋頃に取材に行けたらいいなと思っています。
 学習センターとは国の生涯学習事業であり、箱モノを建設する補助金を出す活動をしている。地方だけでなく、足立区などにも建設されている。
 
  大空町の埋蔵文化財
1.旧石器時代
※北海道の旧石器時代は約3万から2万5千年前の「小型剥片石器」、約2万年前の「石刃石器」、約1万2千年前の「細石刃石器」を経て
 「有舌尖頭器」に変遷します ...

2縄文時代

3続縄文時代

4擦文時代

5オホーツク文化とトビニタイ文化

 
 
 01斜里→網走
 02濤沸湖原生花園釧網本線
濤沸湖
左:濤沸湖
右:オホーツク
原生花園駅周辺 釧路本線
線路は砂丘上を走っている
砂丘・湿地・湿原・汽水湖

ラムサール条約の地
砂丘が堰堤のように
河川流・海流と
冬の強風で形成
民家の生業は何?
漁業?農業?牧畜?
釧網本線と原生花園 網走漁港? 広大な低地と砂丘と残丘が続く 農地が拡がっている

寒冷地北海道の広大な農地に

年一回だけの作物の収穫が

日本人の食生活を支えているとしたら

極めて危険なことでしょう

里芋の葉に見えるが全てフキ。アクが強くて食べられない。
 

 03網走→女満別
 

 05研修会館外観 火曜日休館
  1階は多目的会議場。屋内ゲートボール場が附属。 
  2階は教育委員会。教育委員会のフロアー内に別室があり、郷土資料室がある。

  郷土資料室は2室あり、1室は石刃鏃遺物の展示室。2室目は民俗資料や剥製を展示。
  事前申し込み無くても、教育委員会でその辺の教員に頼めば保管庫のガラス扉を開けて見せてもらえます。だから写真に反射光が入っていません。
  ※手に取れるからと言って、沢山あるからと言って、決して盗んだりしてはいけません。手に取るときは、手袋をしましょう。(私はそうしています)

女満別研修会館
2F教育委員会と
郷土資料室
郷土資料室は
教育委員会の中に有る
 

 06郷土資料室(考古展示室)

 北海道指定有形文化財

女満別石刃鏃遺跡出土の遺物
時 代 繩文文化初期
所在地 網走郡女満別町西3丁目 女満別町教育委員会
所有者 女満別町
女満別町豊里遺跡出土のもので、石刃を加工して石鏃をつくっているこ とにより、 石刃鏃文化と称されている。
この遺跡の出土品は、石刃、削器、剝片石器、石斧、石錘、石核等々、装身具及び飾玉と少数の土器破 片がある。
この文化の遺跡は本道(北海道)の他、シベリア、沿海州に分布が認め られており、この文化は大陸に源流をもち、 本道がその前衛地と考えることができ、 本道と大陸との文化のつながりを究明する重要な手がかり となっている。

※豊里遺跡は、豊里石刃鏃遺跡、豊里石刃伊勢住吉C遺跡などと表記される。

 

 08展示配列
展示配列図 ※いざ撮影が始まると、写真を撮ること、そればかりが先だって、この図どおりに撮影できず、結局まぜこぜになってしまいました。
 おわびします。

9~2
11~18、35
26~19、36、10
34~27、10
36、19~26
9~2
34~27
1-2
1-1
 
 

 10縄文時代早期 約6,000~9,000年前

 10円錐形石核 上左
円錐形石核 円筒形石核
 12石核剥片 上右
円錐形石核
石核剥片 石核剥片
 13円錐形石核 下左
円筒形石核 円錐形石核 円錐形石核 円錐形石核
円錐形石核
 14円錐形石核 下右
円錐形石核 円錐形石核
円筒形に見えるが円錐形の脚注が
 
 50

 51縄文中期 約3,000~4,000年前 

石鏃
弓の矢の先につけて使われた石器で、世界中の 新石器時代以後の遺跡から出土します。 鏃の形は 三角形が基本で三角形の頂点を挟む2辺が直線状 のもの、凸状、凹状のもの五角形の駒形のものな どがあり、 基部も有柄、 無柄に大別されます。

掻器
使い途によって、剥片の一先端に刃が付けられる もの、両側縁につけられるもの、全周縁に付けら れるもの、 形の大小など色々な種類が見られます。

女満別町遺跡包蔵地
一覧
縄文時代中期
約3,000~4,000年前
石鏃
掻器

 上左
掻器 石鏃

 55縄文早期石刃鏃 約6,000~9,000年前 

常呂型ナイフ(ところがたな ないふ)
石刃鏃とともに発見されるナイフの一種で石刃の 一端に丸味をおびた刃部が付けられている独得の ナイフです。 最初に常呂遺跡で発見されたので名付けられました。


石刃鏃
石刃の腹面 (筋状の縦線のない面) の一端に 細かな打ち欠きを施して尖端を作り 「矢の根」
としてつくられた矢の先につけられた石器。

 下左
石刃鏃
石刃鏃
常呂型ナイフ 常呂型ナイフ 常呂型ナイフ
女満別はサハリンの石刃鏃文化人が住んでいたところなので、これは北方民族特有のナイフかも知れません。
 
 57縄文中・後期 北筒式土器 下右
  北筒式土器は縄文中後期に道東に展開していた土器型式。北海道式円筒土器の略で円筒土器である。
北筒式土器
胴部破片
北筒式土器
胴部破片
北筒式土器
口縁部破片
北筒式土器
口縁部破片

 

 80母岩

石核 Core
石刃や剥片を取り去ったあとの残りかすで、ときには掻器 のような石器としても使われることもあったようです。
石核には、時期と地域により色々な形のものがあったよう で、 亀甲形石核、 円盤状石核、 女満別町の豊里石刃遺跡でみ られるような石刃を剥離する円錐形石核、 円筒形石核、 半円筒形石核、半円錐形石核のほか舟底形石核もあります。

石刃 Blade
剥片から作られた石器の一種です。 石核の打撃面 (ブラット・ ホーム)に連続して打撃を加え、 多量に石刃を剥離する方法 (連続割裂技法) でつくられた石器です。 両側の縁がほぼ 平行で、長さと幅の比が2:1以上で、両側縁が鋭い刃と なっており、モノを切ったり、刺したりする道具です。
大きさは、長さ4~5cm, 幅1cm前後のものが多く、 それ より大型のものは大型石刃、より小さなものを小型石刃と呼 び区別されています。

搔器 Scraper
薄片の縁の一部分、 または全周に削ったり切ったりするた めの刃がつくられています。 掻器の使いみちは獲物を取るた めの猟具ではなく、獲物を解体したり動物の皮をなめす道具 です。 機能的には、 刃の部分が長軸に対して直角につけられ るもの、全周につけられているものに区分されています。


剥片 Flake
石核から剥された石片で、そのまま刃物として使われる こともありますが、 多くのものは二次加工がほどこされて 掻器や彫器、石槍など色々な種類の石器につくりかえられます。

剥片石器 Flake tool
剥片を利用してつくられた石器で、機能的にみますと、
➀削ったり、掻き取ったりするための道具。
②穴をあけたりするための道具。
③切ったり、裂いたりするための道具。
④溝を彫ったり、刻んだりするための道具。
⑤突いたり、刺したりするための道具。
⑥槍や、矢の先端に着けるための道具。
などがあり、一つの石器で二つ以上の機能を兼ね備えた ものもみられます。

石皿 Plate stone
磨り石や杵とセットで使われ、 ドングリやクルミなどの 植物を打ち砕いて粉にするために使われたとみられます。 石臼との区分は明確ではありませんが、ほぼ同じ機能を 持っていたと思われます。 また、 鉱物の酸化鉄や辰砂など をすり潰したり、動物性食物の調理具としても使用された こともあったようです。

石核 石刃 掻器
剥片 剥片石器 石皿

 81
母岩
石刃を作り出す基になる原石
円筒形石核 円筒形石核
円筒形石核
 84母岩と剥片  下左
原石と敲き石 原石
ハンマーストーン
剥片
石刃を作り出すときに剥り落としたもの
 88母岩と剥片 下右
母岩
母岩と剥片 母岩
剥片
 
 90縄文早期石刃 約6,000~9,000年前
 91上
石刃 縄文時代早期
約6000~9000年前
中型石刃
 93下
石刃 中型石刃
 
 100早期石刃 縄文時代早期 約6,000~9,000年前
 101上
石刃 石刃
縄文早期 石刃
石刃
 103大型石刃 下
大型石刃 大型石刃
 105
大型石刃 大型石刃
大型石刃の厚み
 

 110石刃
 111上
石刃 細石刃 細石刃
 113 下
細 石 刃
石刃の中でも、副1cm以下、長さ5cm以下のものを細石刃とよびます。単独でつかわれ ることもありますが数個を組み合わせ、木や骨 の柄にはめ込んで使われました。
※本州では細石刃は後期旧石器時代終末から縄文草創期初頭とされる一時期のものだが、北海道ではずっと長くにわたって使用された技術なので、縄文早期の石刃技法に小さくなった石刃の利用法として、細石刃のように何かに取り付けて使用したのかもしれない。

小型石刃 小型石刃 細石刃
小型石刃
 
 120
 120早期 石刃石器 上
縄文早期
約6千~9千年前
石小刀
 123 側面視

大変薄く、つまみはナイフ部分より鎌首をあげて、つまみやすく作り出してある。
とても高い技法でつくられている。
 125剥片・石刃石器 下
石小刀
 
 140早期豊里石刃遺跡
 141上
豊里遺跡
第1地点第1層出土
小形石刃
石刃  石刃鏃 石刃鏃
 143下
石核と石刃
石刃
石核
石核
 
 150豊里石刃遺跡
 151上左
豊里石刃鏃遺跡
第1地点第2層
石錘
 
※考察 豊里石刃鏃遺跡第1地点に第1層・第2層
  とあるのは、ほんのいっときだと思っていた石刃鏃文化が、実はもっと長くて、初期の石刃鏃文化(下層・第2層)が終了して遺跡が埋まった後に、
 更に次の石刃鏃文化(上層・第1層)がもう一度開始されたということか。(寒冷期が2回あったのか?)
  それとも最初の集落が水害で泥を被ったあとにその上に集落を再建して上層の石刃鏃集落が営まれたのだろうか。
  気候グラフを見ると、最寒冷期が長らく続き、一旦気温上昇して、再度短い寒冷期が訪れている。

 152上中
石鋸と砥石 石鋸
砥石×2

 153上右
組紐圧痕文土器

 組紐圧痕文:
  〇縄文時代早期の後半には、縄を押しつけたり、回転させたりして施文した縄目の文様の絡条体圧痕文、組紐圧痕文とよぶ土器や、
  斜行縄文、羽状縄文、それに細い隆起線などを組み合わせた平底の土器が、ほぼ全道的に出現する。

  〇土器に縄目文様が一般化するのは、早期後半になってからです。
  この頃、東釧路Ⅲ式・コッタロ式・中茶路式などと呼ばれる縄文・絡条体圧痕文・組紐圧痕文などが施された平底土器が北海道全域に広がりました。
 
 156下左
石小刀
掻器
掻器
 157下
石錘
豊里石刃遺跡
第1地点第1層
 158下右
石斧 砥石
石斧 砥石 組紐圧痕文土器 綱文式土器

 綱文式土器:
  〇縄文時代前期前葉の土器。縄文の縄目が太く荒いことから、縄でなく、綱文と名付けられた。
  底部尖底土器で、胎土に繊維を多く含む野が特徴で、

  〇縄文時代の早期後半に全道一円にひろがった平底の絡条体圧痕文・組紐圧痕文土器群につづいて、
  北海道南西部は、対岸の東北地方北部からの流れをくむ胎土に繊維を含んだ縄文尖底土器の文化圏にうつりかわる。
  縄文尖底土器は、土器の全面を縄文や撚糸文、ときには竹管文で飾った縄文土器の名にふさわしい土器で、
  函館市春日町遺跡で出土した春日町式土器や、椴法華村で出土したトドホッケ式土器などがある。
  噴火湾沿岸から道央部、道東部にかけては、道南西部の縄文尖底土器のバリエーションである静内町中野遺跡を標式とする中野式土器、
   栗沢町加茂川遺跡を標式とする加茂川式土器、名寄市日進遺跡を標式とする日進式土器、
  網走市大曲洞窟遺跡から出土した土器を標式とする綱文式土器などである。

  中野式土器は、砲弾形を呈する尖底土器で、文様は荒い斜行縄文が主体となる。
  胎土は厚く、多量の繊維や撚糸を混入する特徴がある(写真4)。加茂川式も中野式に似るが、文様は撚糸状にみえる文様が主体で、
  器形も口径に対して背がひくい。両者は、胆振、日高、石狩低地帯に分布する。
  日進式も砲弾形深鉢が主で、縦にはしる縄文が特徴的であるが、胎土に撚糸はふくんでいない。
  日進遺跡では、中野式を包含する層の上層から出土しているので、中野式に後続するものであろう。
  綱文式土器は、あたかも器面にロープを巻きつけたような文様をもつ。石狩低地帯以北にひろく分布するが、その文化内容はまだよくわかっていない。

 ※縄文前期前葉になって、一気に東北北部の文化(と人)が全道的に流入し、東北北部の土器文化が全道各地で独自に花開き、
  いろいろな土器型式を残した。
 
 160剥片・石刃石器
 161上
石小刀
掻器
掻器
石錐  石鏃 石鏃
 166下左
後北式土器:
 〇続縄文時代前半の土器に続いて後半では、道央部からおこった後北式(後期北海道薄手縄文土器の略)が、全道から東北・越後、千島列島・サハリンの一部にまで広がった。
 また、この時期、集落が沿岸地域から河川沿いに内陸に形成されるようになり、海洋狩猟から河川でのサケマス漁に生業の幅を広げたと考えられる。


後北式土器
後北式土器
右端 磨石
 168下右
磨石 石斧
石斧 石斧 石斧
 

 170剥片石器
 171上 上部が撮影困難な展示ケースでした。

石族
縄文時代中期になると、 石器の種類も、 形も色々に変化し、 食べ物を手に入れる技術も進歩して人々の生活も豊かになってきたことが知られてます。

石鏃
有柄石鏃
石銛
 175下

石槍
英語でPoint (ポイント)と呼ばれ槍の先に着けてつかわれました。

尖頭器
物を刺したり切り裂いたりする道具で先端が尖っています。

石槍 石槍 石槍
石槍 石槍 尖頭器

石槍
尖頭器
尖頭器
石銛
 

 180早期の石器
石錐 Awl
剥片や石刃の一端は両端を加工して、穴をあけるための 道具として使われました。 使いみちによって、 肉厚の刃部を 持つもの、薄手の物などが有ります。 刃部は使用によって摩 耗の激しいものがみられますが、 よくみると、この摩耗は回転運動をしていることが分かります。

石小刀 Stone knaife
剥片や石刃を利用して作られた、 薄く鋭利な刃を持つ切断 用の石器です。 背の部分に刃潰しを施して握り易くしたり、 柄の部分を加工したものも有り、刃部の加工も精巧に施され ています。北海道では黒曜石で作られるものが大半ですが、 本州の近畿地方ではサヌカイト製のものが、 大量に出土して いるところがあります。

石鋸 Grind stone
主に砂岩の薄く平板状の石で断面はくさび型をしています 石の材料を表裏が一致する位置に、溝状に磨り窪めて切断す る道具で、磨製石斧を作るためのものとみられています。
石刃鏃を伴う遺跡から出土し、シベリア方面から伝わって 来たと考えられます。 石斧の他に装身具の玉などを造る過程 で、荒削りや切断の過程などでも用いられたとみられます。


常呂型ナイフ Tokorotype knaife
石刃の一端に、 斜め方向に二次加工を施して作られた石器 で、ナイフやカッターの機能を備えた石器です。
石刃鏃が出土する遺跡からだけ発見される、 縄文時代早期 独特の石器です。

矢柄削器 Notch
抉入石器 (けつにゅう・せっき) とも呼ばれ、 石刃や剥片 の一部に二次加工を施し、 半円形のクビレが造られています。 木や骨の加工用道具と考えられ、 弓矢の柄や銛、槍などの 柄を真直ぐにするためにも用いられたとみられます。

石刃鏃
石刃の主として腹面 (主剥離面)に簡単な二次加工を施し 弓矢の鏃 (ヤジリ)としてつくられた特異な石器で、旧石 器時代の終わり頃から縄文時代の初め頃に現れた石器です。 日本では、北海道の北東部のみにしか発見されておらず、 女満別町の豊里石刃遺跡や常呂町の常呂貝塚が有名で、 同じ ものがロシア極東地域、 ヴォルガ川流域、 ヴァイカル湖周縁・内モンゴル 中国の東北地域にもみられます。石刃の源郷はアジア大陸の北東部に在ったようです。

石錐・石小刀・石鋸
常呂型ナイフ
矢柄削器
石刃鏃
上部展示ケース内
下に提示
 181上
抉入石器
英語でNoTch (ノッチ) と呼ばれます石刃や 剥片に加工を加え、半円形の入部を作り、木や 骨などの加工用の道具と考えられます。

砥石
石硬い 「もの」を研磨するために考え出されたも ので、初めは石の質の緻密な自然石が利用され ました。 時代が進むに従い研磨する 「もの」の 種類により色々と形や質が変化してきました。

抉入石器 抉入石器 砥石 砥石
砥石
砥石

 185石錘 下

石錘
魚網用の錘。
「ムシロ」 や 「カゴ」類を編むときの錘として用いられ、 自然石の長軸両端に切目を 打ち欠くのが一般的で、 旧石器時代後半から使われていました。

石錘
石錘
 
 200早期土器石器豊里
 201上
石核
時期や地域の差で、色々の形の物があります。 豊里石刃遺跡のものは石刃や掻器を削ぎ取った 芯 (しん) の部分で、 円筒形石核、 円錐形石核、 半円筒形石核、 半円錐形石核が全体を占めています。

搔器
スクレーパーは、獲物を捕るための道具で はなく、獲物を解体したり皮をなめす道具 として使われたようです。

石刃
石核から連続して打ち削ぎつくられる削片で 両側の縁がほぼ平行で、長さと幅の比が2:1以上のものです。

石核
掻器
石刃 豊里石遺跡
第1地点第1竪穴住居跡 第2層出土
撚糸文土器
綱文式土器

 撚糸文土器:
  縄文時代前期前葉の土器
  撚り紐を丸棒の軸に巻きつけた原体 (絡条体) を回転して施した文様。絡条体圧痕文土器である。
  同時期の土器として組紐圧痕文土器があり、綱文式土器はその仲間である。


 203豊里石刃遺跡 第1地点第2層  下
石刃
石核から連続して打ち削ぎつくられる削片で 両側の縁がほぼ平行で、長さと幅の比が2:1以上のものです。

石錘
魚を取る網のおもり。ムシロやかごなどを編む時のおもり。

石刃 石錘
 

 210装具(かざりぐ)

飾具(かざりぐ)
身体を飾るので装身具とも呼ばれています。 飾られる部分に よりそれぞれの名前がつけられ大別すると身体上部から、髪飾、 額飾、耳飾、ラブレット (唇飾)、首飾、胸飾、 腕飾、指輪、 腰飾、足輪などがあります。
材料として使われる物には、骨、角、歯、牙、色々の種類の 貝殻、 石、木、土など身近に得られるもののほか、 スイショウ、 メノウ、ジャモンガン、ダイリセキなどのように手に入れるこ とが困難な、数少ない石でつくられたものもあります。
飾具は、装身具として身を飾るほかに、特別の地位や身分を 知らせるために使われることもあり、 また、 身体に害を加える 悪魔から身体を守るためのお守りとして使われることもあった。

石斧(せきふ)
一般的には使われ方によって石製の木工具としての斧、手斧、 鑿(ノミ)などを指しますが、武器や農耕の道具の中にも石斧 の呼ばれているものがあります。
普通には刃の部分が直線的で幅広の刃を持つものを呼んでい ます。 大別すると、柄を刃と平行にした斧型と柄を刃と直行さ また手斧型とに分けることができます。
石として形を整える方法として、礫を打ち欠いて作られる もの=打製石斧、擦り切りで磨き作られるもの=磨製石斧、 打製石斧の刃の部分だけを二次的に磨いている= 半磨製石斧があります。

飾具  石斧

 210早期 装飾品 上
装身具
身体を飾ることは衣服と同じく、 旧石器時代後期に すでに見られます。 装身具の種類は、飾る体の部分 より名称がつけられ、 髪飾り、 耳飾り ラブレット (唇飾) 首飾り、 胸飾り、 腕飾、 指輪、 腰飾、足 輪などがあります。

装身具 装身具
繩文時代早期
約6.000-9.000年前
装身具 装身具
装具

 220早期・前期土器 下

綱文式土器
縄文時代前期に、網走地方を中心に北海道道東地域 に限って現れた土器文化で、器壁が厚く、綱文が口縁と平行につけられ、石刃なども使われ、縄文時代早期のなごりをとどめている時代でものです。

綱文式土器 綱文式土器 石匙
掻器
掻器 掻器 石小刀 石小刀 細石刃 細石刃 石鏃 石槍 両面調整石器
磨切石斧
 

 250早期 女満別式土器
 251上左半分

※研究 女満別式土器
〇石刃鏃文化に伴う土器には、
 ➀絡条体圧痕文を口唇・口頭部に持つ平底土器- 浦幌式土器
 ②竹管文を口縁部に並列させた- トコロ一四類土器(トコロ14類土器)
 ③女満別町豊里遺跡では押型文土器or女満別式押型文ともいわれる- 女満別式土器(型押文)
    引用「札幌市中央図書館/新札幌市史デジタルアーカイブ 伴出土器」

 浦幌式土器は北方石刃鏃文化人の文化をまねた在地縄文人の使用した土器である。 
 北来の石刃鏃文化人は女満別町に滞在し、女満別式土器などを残した。

〇北方石刃鏃文化人が製作した土器は、型押文(スタンプ文)の女満別式土器である。引用「帯広百年記念館所蔵縄文ギャラリー

※研究 押型文ではなく型押文とはなんだろう。
 ・「北海道のちょっと変わった土器」によると、押型文は北海道独自の施文の発達による文様であるとする。
 ・女満別式土器の出土は大変少ないようで、ここ、女満別町で初めて見ることができました。ましてや復元品となると、
  右の帯広百年記念館ですら1点だけです。
 ・「型押文」という用語は帯広百年記念館の造語のようで、ネット検索しても他には出てきません。これは、
  在来押型文と北来スタンプ文を区別するために使った言葉かもしれません。

女満別式土器の詳細についての追及は、ここまででした。 終わります。

引用百年記念館


 ※ここの展示では、女満別式土器と、押型文土器を区別しています。 ただ、その違いが私にはわかりません。
女満別式土器
押型文土器
女満別式土器

押型文土器

 253縄文早期土器 約6,000~9,000年前 上右半部

貝榖压痕文土器
縄文時代早期にみられる土器の文様でホタテ貝のような二枚貝の腹縁を器面に押しつけて、小さな波形の文様で飾ります。

貝穀条文土器(かいがらじょうこんもん どき)
縄文時代早期に出現する土器の文様で、 土器を作る とき土器を整形するためにホタテ貝のような肋条の ある貝の腹縁や背面を使って施文された土器で、条痕がはっきり残されています。

貝殻圧痕文土器 貝殻圧痕文 貝殻圧痕文
貝穀圧痕文土器 貝殻条痕文土器

 255下左半分
石皿
磨石や石杵などと組み合わせ、植物の根や茎、硬い果実を砕いたり、粉にするために用いられました。

 撚糸圧痕文土器:
  〇縄文早期後半期に全道に広まった絡条体圧痕文土器や組紐圧痕文土器の仲間。
 沈線文土器:
  〇縄文早期前半期に属する貝殻文(条痕文、腹縁文)・沈線文・刺突文を特徴とする土器群、
   後半期の絡条体圧痕文・撚糸文・組紐圧痕文・微隆起線文等を複合施文する縄文土器群の二グループに細分することが可能である。
四角い石皿 石皿(破片) 敲石 撚糸圧痕文土器
沈線文土器
 257下右半分
打製石斧
磨切石斧
削器
削器 掻器
掻器

磨石
石の上で物を摺りつぶしたり、植物の内質を削り落として、繊維を取り出す道具。

磨石
磨石 磨石
のように把手が付けられている。
磨石
磨石
 

 260擦文前期・縄文中期 擦文時代 約800~1200年前
 261上左
擦文式土器


擦文文化 約1200~600年前
北海道を中心に、一部本州の東北地方の北部、サハリ ン南部にも広がり、 擦文土器が使われていた文化です。 土器は胴部に刷毛 (はけ)でこすった文様が付くもの が多く、 刻文 (きざみもん) が付けられています。 約 1.200年前から約600年前ごろまで、この地方ではさかえていました。 後につづくアイヌ文化には 擦文文化の伝統が色濃く残されています。

紡錘車
繊維を紡 (つむ) いで撚 (よ)りをかけ糸をつくる ために使われたものです。 紡錘 (つむぎ) の軸棒に 差し込み軸の回転を助ける 「弾み車」 (はずみくるま) で錘(おもり)の役目もしています。 大昔の人々は 糸を作るには、 繊維を両手のひらで、 撚り合わせたり、 手の掌と頬や脚 (あし)の腿 (もも)とで撚り合わせ ていました。 時代が進み、 織機 (はた)が発明されて 布(ぬの) が織られるようになると、 同じ太さで長い 糸が沢山必要となり、 考え出されたのが紡錘車です。

 上左
擦文文化 紡錘車 擦文式土器 高坏形土器
融合型式土器
擦文時代
約800~1200年前
擦文式土器
 263下
擦文土器
縦横に沈線文の土器
沈線文土器?
石槍 石銛
擦文時代に石槍・石銛?
石銛
奈良~中世に
石器?
削器
この時代は鉄器では?
 

 265縄文時代中期 上左 約3,000~4,000年前
石斧
磨製石斧が多く、形も大、中、小型と使い途により変化が見られます。

石斧 石斧 縄文中期
約3,000~4,000年前
掻器
ナイフ

 上右
石槍
細長い棒の先につけて槍先として使われたようで、使い途によって形に大、小があり葉の形をするもの、「カエリ」のついているものなどがあります。

石槍 石槍 石銛

 267北筒式土器 縄文中期  下右  267と57 267はどちらも確からしく不明

 北筒式土器:
  〇縄文中期~後期の北海道の道東を中心に展開していた土器型式のひとつであり、北海道式円筒土器)の略である。

北筒式土器 胴部破片 胴部破片 口縁部破片
 

 270縄文後期 彫器
 271
彫器 Graver
彫刻器、彫刻刀とも呼ばれ、木や骨などに溝を彫ったり、 そのほかに、道具を作るための工具としても使われました。
彫器の刃の作り方は、他の石器とは異なり、 石刃や剥片に 二次的に加工を施し、 殆ど完全な形態に作り上げた後に刃部 が作り出されています。 刃のつける位置によって色々な種類 に分けられ、刃の位置が中央に有るもの、 側方に有るもの、 肩に有るもの、刃の角度が直交するもの、 斜交するもの、凸 状、凹状のものなどが有り、現在の大工が使う鑿(ノミ)と 同じ使われかたをしていました。

砥 石 Grindstone
砥石は研磨技術の発明とともに旧石器時代に、 すでに出現 していました。 はじめは石質の緻密な自然石が利用され、 時 代が進むにつれて具体的な機能と形を備えるようになりまし た。 磨くものの材質により磨製石器研磨用、 骨角器研磨用、 矢柄研磨用、 金属器研磨用、 玉研磨用など色々な形の砥石が みられるようになってきました。

磨石 Grind-stone
石皿と組にして使われ、石皿の上にモノ (植物や動物の肉 質)をすり潰すために使われた石の道具で、 形は円柱状と円 盤状のものとが多くみられ、一般に磨かれた痕跡の有る石の 総てを磨り石と呼びます。 機能的には石杵と共通します。

彫器 砥石 磨石
 272上左  縄文後期
石小刀
剥片の端につまみ状の突起が加工される石小刀で、 石匙 (いしさじ) 石七 (せきひ)とも呼ばれ、この地方では縄文時代早期に現れる特徴的な石小刀です。

石小刀 石小刀 石鏃

 上右
搔器
一般に英語名 Seraper 「スクレーパー」 と呼ばれ、石器の一種で石刃を加工してつくら れます。

掻器
彫器

 275下 縄文時代後期 約2,500~3,000年前
削器
スクレーパーの一種で、形から削器とも世ぞ鱒が、掻器と同じ機能を持っています。

削器 削器 石銛 磨製石斧
 
 280縄文後期
敲き石 Smash stone
拳大の長楕円形、あるいは球形の礫の一端または両端に 敲打痕がみられ、 石槌のように用いられた石器です。
自然の礫をそのまま用いることもありますが、全面また は片面を磨いて使うこともあり、 敲打に使う面は人工的に 加工されていないことが多いです。 手に握って食物の調理 など、モノを敲いたり潰したりするのに使われました。 両面または片面の中央に窪みのある凹石も敲き石の一種 とみられます。

矢柄研磨器
板カマボコ形をした自然石の、 平らな面の中央を、 縦に 一本の溝がくぼんでいる一種の砥石です。
同じ形の溝を上下に合わせてできる管 (くだ)に矢の柄 をはさんで磨いたり、 柄を真直ぐに矯正する道具と考えら れ、研磨に用いられる材質は砂岩質の自然礫が多くみられ ます。
縄文時代の早期に一時的に現れますが、 その時期以降は まったく姿を消してしまいます。

 281上
敲き石 矢柄研磨器
石槍 石槍 石匙 縄文時代後期
約2,500~3,000年前
石匙 石匙
 283下 縄文後期
磨 石
石の上で物を摺りつぶしたり、 植物の肉質を削り落として、繊維を取り出す道具。

石皿
磨石 敲石
石杵
石錘
 
 285上ナシ 縄文後期・晩期 約2,500~3,000年前
縄文後期
 約2,500~3,000年前
縄文晩期 
約2,000~2,500年前
 
 290続縄文 前北式土器
 291上
石小刀
現代のナイフやカツターのように「もの」 を切ったり削ったり裂いたりするのにつかわれました。

石小刀
不明
石匕(せきひ)
石匙
石匙


 293下 前北式土器 続縄文時代
※後北式はよく出てくるが、その前に、前北式、北筒式土器(北海道式円筒土器)の前段階の土器があったとは知らなかった。
  ここで初めて登場します。

前北式土器に言及する記事
 縄文文化に続く北海道地方を中心とする文化。本州の縄文文化が弥生文化へと移行する一方で,北海道地方を中心に,縄文文化の伝統を濃く残した文化が続くと考えられ,それに〈続縄文〉という名が与えられた。この文化の内容は,近年になって土器の編年序列がほぼ判明したが,なお究明すべき点が多い。
 現在,時期的に東北地方の弥生文化に相当する前期と,同じく古墳文化に相当する後期とに大きく分けられる。
前期の文化は大まかに道南を中心とする恵山式土器を伴うものと,
道央・道東・道北でそれぞれ若干の地域色を示しながらも前北式から後北式にかけての土器を伴う一群とに大きく二分される。
 ※前北式土器の詳細は不明である。
 
前北式土器 前北式土器 続縄文時代 前北式土器
前北式土器 前北式土器 前北式土器 前北式土器 前北式土器

掲載された「前北式土器」の特徴
 尖底平底。四波形。波形頂点の外側に穴の開いた把手(吊り手)が付く。垂直の縄文。その上に横走する幾筋もの沈線文を引く。
 口縁部に列点が一周する。胴部には二列の刺突文が一周する。

 

 300擦文文化 上は不明  豊里石刃遺跡 C地点
敲石
自然礫を用い、 手に握って食物の調理など (モノ) をたたいたりすりつぶしたりすることに用いられ た石器です。縄文時代前期から見られるようになります。


敲石
敲石
敲石・砥石・石小刀 石小刀・石錘・砥石
・掻器・石小刀
砥石・掻器・石小刀
・石鏃・石銛・
短縄圧痕文土器底部
砥石
短縄圧痕文土器の底部
短縄圧痕文土器の底部
短縄圧痕文土器 詳細不明
恵山町の縄文時代早期の遺跡」と「仙台市宮城地区-野川遺跡」
短縄文として図示されているが、私にはわからない。

 310縄文時代早期 約6000~9000年前
 311上
  掻器
スクレーパー
掻器スクレイパー
約6000~9000年前
 313下 
スクレーパー
掻器は使い途によって大きく3つに分けられます。
1. 長軸の一端に刃がつけられるもの。
 エンド・スクレーパー
2.長軸の側縁に刃がつけられるもの。
 サイド・スクレーパー
3. 剥片の全周縁に刃がつけられるもの。
 ラウンド・スクレーパー

搔器
石刃の一部、または全周に削ったり、切ったりするための刃が作られています。

スクレーパー スクレーパー