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 縄文を旅する3 北の縄文 北東北〜南北海道旅 18  2013.10.10(木) 再編集2017.3.23

 二風谷アイヌ文化博物館 北海道沙流郡平取町二風谷61 01457-2-2892月休

 時代 縄文時代早期〜アイヌ時代(7000〜500年前)(江戸時代以前)まで

 交通 レンタカーが最善 ただし、237号線はパトカーの常時取り締まり路線要注意

 見所 生活用品がよく収集されている

この館は円形建物の構造上どの方向から写真を撮っても必ず反射光が入ります。
また、博物館特有の照明でなく、強烈な黄色の白熱電灯で、展示物の一部だけを照らし、
強い陰影を作り、対象がよく見えません。
この方法では展示物がたちまち退色してしまって展示価値を失うと思います。

これと同じライティングをしているのは青森県の是川縄文館です。
 
酒棒箸


 もくじ
 
00苫小牧市街地
01博物館外観
10生活雑貨
 11子どもの世界
 13木彫り
 15模様を縫い込む
 16防寒具
 17アットゥシ織
 
 
20台所用品
23住居を建てる
25住居チセ
30着物
33ござ編み
35刺繍
 
 
40伝統的儀式
41儀式と伝承
42イヨマンテ
43ウポポ歌謡と舞踊
44トゥキパスィ酒棒箸
 
45漁労具・仕掛け罠
50農業道具
60狩猟・漁労
70農耕具・狩猟具
71生活・農耕
 73生活道具
 
80暮らしのカレンダー
90葬送儀礼
104現代のアイヌ工芸
106小舟
108伝統工芸


 00苫小牧市街地  交通不便な二風谷へは苫小牧から行きます。 この街も近年斜陽ぎみ。
地形的に太平洋からの気流の通り道で 降雨・降雪の多い地域です。 駅近のスーパーで。
寒冷地の魚ソイ
なぜ白黒になった?
キュウリウオ・わかさぎ・真かれい・真イワシ 寒冷地・降雪地ですから駅と付近の商業施設は接続してる 王子製紙のアイスホッケーが強かったんだ 苫小牧一安いホテル
結構快適でしたよ。

  キュウリウオ、なんて食べたことがない。おそらく本州の大半の人がそうではないでしょうか。 きゅうりのにおいがする魚です。
   方言 二風谷と白老では、名前のカタカナ表記が少し番います。これはアイヌ語方言だと思います。
 
 二風谷へは
  日高自動車道を走って、、237号線に入ると走ってる車はまばら。で、グッとアクセルを踏むとたちまち捕まっちまいます。
  パトカー取り締まり常習路線。要注意



 01博物館外観
屋外展示の家屋群 高床式倉庫でしょうか ここはもう博物館の敷地でしょうか。区切りが分かりにくい。 チセ群
 家屋は全て同型でした
水たらいの覆いのようでした 窓からのぞいた室内
川舟の展示 チセと博物館 博物館。こんな設計が昔し流行りましたね。 実に個性的な入口の
デザインです
展示場入口に掲げた、
彫刻のお盆
国会議員萱野氏寄贈品を元に蒐集した文物。

 10生活雑貨
 11子どもの世界
コタンコロカムイシマフクロウは村の守り神 シンタ ゆりかご子どもの育て方
シンタ ゆりかご

イエオマ おぶい紐

メノコマキリ 女児用小刀
重要有形民俗文化財
指定書

アカム・カチュ(輪突き)
   ウコ・カリプ・チュイ
(投輪突き)

遊びの弓矢

カツクイ 差し杭(遊戯具)

キサラリ 遊戯具
レプニ ストウ 遊戯具
トンコリ 弦楽器

 13木彫り 緻密、大胆、ユニークな伝統の技巧と意匠
ラムラムノカうろこ彫り イタ お盆 トンコリの装飾彫刻
日用品〜衣類〜身体等全てに複雑な模様を刻み付けるのは縄文人も同じ。
 これは、装飾目的か、呪術目的・魔除けか※
ポンスオフ道具箱
生活道具 マキリイペ 小刀 マキリの種類
小刀の鞘マキリケプシペ
レウケマキリ器の内側を削る
タシロ 山刀 イコロオスオフ 
宝刀をしまう箱
タンパクオプ 煙草入れ

 アイヌ模様の意味
衣服や服飾品を彩るアイヌ文様は先祖代々受け継がれるもので、女性たちは母方の系譜に従って幼い頃から刺繍文様などを教えられて育ちます。
一方男性達のあいだでは、父方の系譜から木に小刀で刻む彫刻文様などが伝えられます。
 
文様は家系や地域によって違いがありますが、いずれも魔よけの願いがこめられたものとされています。
基本の文様にはそれぞれ意味があり、これらを組み合わせて複雑な文様を描いていきます。  引用アイヌの文様

 15模様を縫い込む 
イカラカラ文様を縫いこむ
『模様』とか『私達が作ったもの』という意味だそう
マンタリ前掛け
鉢巻き(荷運び紐)
手甲・脚絆 身の回りの道具 刺繍と模様 刺繍=布に糸を刺して模様を描く
丈夫にする。
刺し子=衣類に布を二重に当て、糸で止める時に模様を描く。保温性を高める
マエカケ ホシ・チカコミテ ケモヌイトサイエプ
針入れ付き糸巻
チシポ 針刺し
カロプ 火打石入れ ラスパカプ
 16防寒具

毛皮製の蓑

脚絆
チシマ・チンル かんじき


 17アットゥシ織  アイヌの織り機「アツドシカラペ」

  アットゥシは樹皮衣。
  オヒョウの樹皮を剥ぎ、叩いて繊維にします。 
  樹皮繊維というと硬くてゴワゴワしてる印象があり、驚くかもしれませんが、カラムシや麻の木本繊維など、普通に見られます。

  防水性・耐久性に優れ、明治以降には全国の魚村にむけて売り出されました。大変優れた衣服です。

アッシゥシ あつし織 経糸 (たていと) を 結ぶ杭
たて糸を伸ばした状態
へら あつし織

 20台所用品
新築 アイヌの集落では、家屋の新設は、近隣・親類・朋輩が集まって、たった一日で作ってしまうという。材料は、灌木と草である。
極寒の北海道にあって、そんな簡素な作りで冬を乗り切れるのだろうか。土壁などの防寒装置はなかったのだろうか。

ウトムヌカラ・チセアカラ結婚・新築
家屋の建築はたった一日

メノクイタまな板
今の流し台・水道・鍋orボールと違う調理場所での道具
ポニユタニ=小生地鉢
サマツキニス=臼
ヤラニマ 家屋模型 ヘペレオイヘプ=子熊のエサ入れ
モユクオイヘプ=タヌキのエサ入れ
ルルカスプ しゃもじ シトベラ 団子をすくうヘラ 樹皮製の柄灼 チャサイマニツ撹拌棒
キバスイかや箸
ポロニマ生地鉢 イヨマレピサック
酒つぎ杓子
食器 食槽 ムンヌクエフ ほうき
アレウエマタブリブ
箒、灰ならし、
イテメニ計量竿
パンチョムン・ナタ
センビ・サッテ
 23住居を建てる
チセの建て方 チセの間取り 各部の名称 囲炉裏の位置を決め
地鎮祭をする
柱を建て、三脚柱を載せ縄で縛る
角から萱を葺く 葺き終わった屋根 棒のベッドに萱とトマを敷き熊皮で寝床を作る 魔除けの弓を射る 
破魔矢のこと


 25住居チセ
   住居チセ・倉庫プのほかに便所や仔熊の飼育檻などがありました。
   村じゅう、全て同じ規格で作られ、同じ方角を向いていた。そうです。
オッカヨル男便所
メノコル女便所
ホヤイケニ糞ペラ
倉庫 男便所 女便所
20世紀前半の民俗アイヌの風俗 室内 村内風景 茣蓙 (ござ) 作り 刺青した子守りの女性 機織りと糸紡ぎ

 30着物
アイヌ文様 刺し子の模様
麻か木質繊維
木綿の衣類 華やかなデザインです 単純な模様を組み合わせて複雑な模様にする

 33ござ編み
石の飛び玉 石だとよく締まるかも、しかし、重く 編むときに手に当たって痛い。まるで拷問のような編み作業です イテセニ 刻み目の幅によって編み物が違う。 カニツ糸巻き木/スンチ糸作り用の動物の腱/
ニマ木鉢
ハラキカサイエプ綱巻台
ハラキカはシナ綱/ヘッチョ大縄をなう棒
囲炉裏の上 自在鍵
とうもろこし
イテセカ
糸玉と見事な木工品
オニカブンチタラペ
イナウカ(ポンニカプンペ)
鮭の皮干し
やがて衣服や靴に加工される。防水性がよい。

 35刺繍 糸で布に模様を縫いこむこと。  刺し子は衣類に別布を当て、これを糸で縫いつける。その時模様を描きながら縫い付けること。


 40伝統的儀式・口承文学ユーカラ (ユカラ)
 41儀式と伝承  残念ながら透明なガラスに書かれた文字は写真には写りませんでした。
伝統的儀式 口承文学ユーカラ このような場で話されたのかも知れない 伝統的儀式 伝統的儀式 クマ送りの儀式
クマ送りの儀式 クマ送りの儀式 ユーカラ(yukaraユカラ)
アイヌ叙事詩の一つ。神々のユーカラと人間のユーカラがあるが,普通,後者をさす。英雄説話として発達した長大なうたい物で,アイヌ文学の中心をなす。主人公はポイヤウンベと呼ばれ,名族の子。 引用コトバンク
 コトバンクの説明には六種類の解説があり大変参考になります。
 ぜひご覧ください。

 42イヨマンテ (イオマンテ i-omante) 物に宿る魂(たましい)を神の国へ送り返す儀式
イヨマンテ
熊送りは
1〜2年飼った子熊を送るユカラを聞き歌い踊る
カムイ・ミンタラカムイ・ミンタラは神の・庭神々の遊び場となるが
神はヒグマでヒグマの多い場所が正訳
熊送りの祭壇
イオマンテ用に設けられたヌササン(幣場)

粢餅※
中心にイナウで飾り付けた熊の頭骨を祭り、周囲に捧げものとしてのイナウや供物の鮭を捧げる 鮭の供え物
鮭や餅など供え物は神の国への手土産として持たせたものである

鮭の上の方にクマの頭骨
イナウで飾った熊の頭骨
祭壇=ヌササンの中心・
主宰である
熊の頭骨 祭祀具の漆器
大和との交易品
粢餅※(しとぎもち)は神に供える米粉の餅

粢餅は人々に分け与える
粢餅は粢のことである
粢とは神に供える米の餅

平安時代に伝わった大和文化のなごり

 43ウポポ 歌謡と舞踊
ウポポ
ウポポは
アイヌの伝承歌謡

タマサイ-ネックレス
ニンカリ-イヤリング
ニンカリは沿海州産

同じようなものが青谷上寺地遺跡から謎の土玉として出土しているという
タマサイのガラス玉は交易用に大和で作っていたという。もちろん沿海州産もあり サバンベ幣冠サパウンペ 幣冠は
儀式時の男性の被り物。イナウ[木幣]の一種。
ブドウ蔓などを編み込み、そのまわりにミズキやヤナギのイナウル[削り掛け]を巻いたものや、イナウのように一本の木を削り、削り掛けを撚りあわせたものがあります

  サバンベ(二風谷)とサパウンペ(白老) 両地域では、多少の方言があったのか、アイヌ語発音をかな表記にする違いがあったのかもしれません

 44トゥキパスィ酒棒箸(イクパスイ)
トゥキパスィ アイヌ民族が儀式で使用する木製の祭具で、カムイに酒などの供物をささげる際、人と神の仲立ちをする役割を果たすものとされた 単に儀式で酒を天と地と人に撒くだけの棒。モンゴルでは指でやっちまう。 それをこれ程美しく精緻な芸術性を示す場として 美しい模様や色彩をもって装飾するとはそれほどの意味を持っていたのだ

 45鮭漁
チェコイキ 鮭漁 アプ 魚とりかぎ
マレプ(マレプ)サケマス漁に使う自在もり
サンケチプサンケ舟おろしの祭
チプ 丸木舟
ヤラチプ 樹皮の舟
丸木舟
丸木舟 うけ・うえ 用途によっていろいろな形があるようです
なぜか生活用具が紛れ込んでいます 矢毒臼と矢毒杵?※
脚注不可看。矢毒は乾燥トリカブトの塊根。鬼グルミ。アカエイの尾の毒針
クワリ 仕掛け弓
他地域ではアマッポ
ホイヌアペ テン捕り罠 は重要な毛皮交易品
石の錘をのせて圧し潰す
イセポカ 兎のくくり罠 矢毒臼と矢毒杵?※

縄文遺跡から同様なものが出る。多くは適当な名前で呼ばれ、杵は石棒とされている。

 50農業道具
ハルコロ 豊かな幸 ニシッタプ 木鍬
キラウシッタプ 鹿角鍬
クイタクペ 境界棒
キラウシッタペ 鹿角鍬
シッタプ 鹿角製手鍬

鎌・砧・箕・通しなど

箕・背負子など

サラニプ 編みかご

ニイエシケ背負子
ポロニマ 生地鉢
シララニス 石臼
ニス 木臼 脱穀用
サラニ 背負い袋
カシンタ 鴨掛具
鴨捕り罠

 60狩猟・漁労
エヤミカ カスケ ク=弓 いろいろな弓 ク 弓
アイスプ マカニツ
矢柄 矢骨
アイラプ 矢羽 ヨコニ 伏せ木 狩猟具

 70農耕具・狩猟具
 71生活道具 

シサムニス ずん胴臼
農耕具など ピパ 貝製穂摘み具
カネピパ 鉄製穂摘み具
カラスマ 火打石
カラパシシントコ
 火つけ炭入れ

スルク 矢毒トリカブトの根
 73生活道具 
クヨイ 膀胱で作った水入れ チエプケリ 鮭皮製靴
ユクケリ 鹿皮製靴
クヨイ 水入れ イパプケニ 鹿笛
ニンケティエプ 胆ばさみ
熊の胆を作る木型

 80暮らしのカレンダー

秋の生活カレンダー
秋の食べ物
夏の生活カレンダー
夏の食べ物
春の生活カレンダー
春の食べ物

冬の生活カレンダー
冬の食べ物


 90葬送儀礼 アイヌでは、事故死、病死はとても不吉なこととして忌み嫌われます。
天寿 病死・事故死などを除く。生活具の副葬品・ユカラを唱える。など
墓標男用オッカイカムイ女用メノコクワ
土葬穴オッカヨクワ
オッチケシナ 死者のお膳 バラムリリ 死体を包む紐 ポタラタクサ清め草
イケマ虫よけ草/ポタラナウケまじない草/チエプモクラプ鮭ひれ/矢筒/宝刀/メノコイナウ女のイナウ
丸木船の老人 木臼で脱穀 脱穀
蓑(みの)を編む
男女の墓標
唐臼からうす
墓場祭祀の道具
きび 背負い籠

 104現代のアイヌ工芸
木鉢 お盆と棒酒箸 お盆の彫刻 織物・編み物
カラムシと蝦夷錦

 106小舟
丸木舟 手前から
樹皮舟・刳り舟・板綴り舟
丸木舟 
イタオマチプ 板綴り船、
チプ 丸木舟
ヤラチプ 樹皮舟
板綴り舟の上面視 イタオマチプ板綴り舟
板綴り船
 丸木舟に舷側版などを取り付けた、外洋航海用の舟仕様です。片側に六丁もの櫂を付けた高速船であったそうです。

引用アイヌ生活文化再現マニュアル 2013_06綴る _板綴り舟
板綴り舟は、丸木舟を中に、周囲に板を繋ぎ合わせて囲ったもので、水は漏れます。入ってくるようです。
 ただ、高い波は避けられます。
樹皮舟は
 とてもよく考えられた素材です。
通常削って捨てる。よくて屋根か壁に使う程度のものを、活用して舟にした。

丸木舟より遥かに省労力で作ることができた。

 108伝統工芸
アイヌの伝統工芸
民族の誇りを守る活動
前掛け・脚絆 前掛けのアイヌ刺繍 お盆 針入れ 針入れ付き糸巻
マキリ現代模様 戦中模様のマキリ小刀 イタ お盆 ニマ 木鉢 トゥキ 杯 パスイ 棒酒箸 出口に掛けられた彫刻盆
出口に掛けられた彫刻盆
オブジェでしょうか

オブジェ
シトペラ湯から団子を取り出すヘラ ペラパスイ飲食用ひらさじ