[戻る][TOP]

 
  「鳥浜貝塚出土の12600年前の漆の木について若狭三方縄文博物館で調べてきました。


    この博物館は元来、館内撮影禁止で、写真はありません。撮影許可をもらっても掲載は違反となります。





    最古のウルシと文化

 '13.12.05 鳥浜貝塚出土のウルシの木についてのご報告問題の木の写真が載ったブログ
結果 鳥浜貝塚から、1984年に発見され、11000年前頃の土器と共に出土した炭化した樹木から作られたプレパラートが、
最近になって樹種を同定出来るようになり、
調査の結果、ウルシの木(漆の樹液が採取できる木)で12600年前のものと2012年に判定されました。
 
保管 この漆の木があるのは若狭歴史民俗資料館(休館中)で、常設展示はしていない。(しない)
形状は小枝。当然樹液の採取痕はない。若狭三方縄文博物館にはA4版程度の写真が展示されているだけである。
本日'13.12.05行きましたところ、館内燻蒸のため臨時休館中でしたが、発見当時の貴重な文献とお話を伺いました。
調査 1984年出土し、プレパラート化した。
2005年に森林総合博物館(つくば市)がウルシと同定。(木材組成から植物名を同定)
現在、日本列島の山野に自生するウルシと同じ種類であることがわかった。
2012年国立歴史民俗博物館が放射性炭素分析から12.600年前のものと鑑定。
 
現在日本に見られるウルシであるという表現の仕方があるいは曲解され、
日本固有種と受け取られ、これが独り歩きして
ウルシは日本固有種で、日本が発祥の地であると流布されている。
 
調査の過程でDNA分析は行われておらず、組成検査という目視と、炭素分析という燃えカスによる分析である。
 
三内丸山遺跡出土のウルシは佐藤洋一郎氏(静岡大学)によってDNA分析が行われ、比較した中国産とは違うと鑑定された。
これを、日本のウルシは日本固有種という意味に曲解されたようです。
さらにWikipediaの誤りから、ネット上の言葉が研究者の言葉や、事実と誤認され、尾ひれを広げていったようです。
ウルシに対する国際共同研究は2004年から始まり、まだ、初期段階である。(下の是川縄文館写真参照)
結論   森林総合研究所が2013.08に出した文書ウルシの健全な森を育て、良質な漆を生産する
    ウルシという植物」という項目で「中国原産と考えられています。」とはっきり述べている。
日本のウルシは大陸から持ち込まれたものです。


 鳥浜貝塚の漆製品
  鳥浜貝塚から出土した漆の小枝は12,600年前です。しかし、

  鳥浜貝塚出土の漆工芸品は6500年前で、島根県松江市の夫手遺跡からは6,800年前、新潟県大武遺跡6600年前
  石川県三引遺跡6800年前。日本海側の遺跡からはほぼ同じくらいの年代に完成品が現れる。
  立地的にはこれら場所は入り組んだ内湾に位置します。

  12,600年前以後6000年の間漆製品が発見されていないのは、ウルシ採取。漆工芸品の生産は行っていなかったということです。
  漆工芸の技術はなかったということです。もし、生産を行っていれば、カリンバ遺跡のように工房跡が出てきます。

  是川縄文館のパネル展示から 縄文晩期の遺跡

     博物館が、漆文化について国際的な研究体制を作ろうとして、実行し、研究も深まっています。

是川縄文館内の展示縄文晩期の遺跡で、漆工芸品が数多く出土している パネルを整理して拡大
確かにここに書かれている内容です
漆文化の広がりを探る ジャパンロード調査報告


  ウルシについての知識

  三内丸山遺跡のウルシについ
    「日本列島のどこかで栽培された可能性が高いことが示された」栽培種であり、自然木でないと言っている。

  ジャパンロードその後の研究
    長江下流説と北方ルートの検証で中国から北方ルートでもたらされたとの見方が強まった。
    (長江下流から直接、または、半島経由で、日本に持ちこまれた説は否定的と言っている。)
    それに対して、日本は日本独自の固有種で、独自の技術であると主張。

  漆のDNA分析で日本と中国は別種であると流布されているが、それを裏付ける文書はどこにもない。
  勝手な情報の憶測が独り歩きして広まっているようです。そうでないなら、その調査報告書を公表してください。

  ジャパンロード研究会第三回 自分の国が最も歴史があり、技術が高く、立派だったとみんな言う。(笑)それって科学?

  漆の健全な森を育てる運動のHP 12600年前の漆の木(2012年発見)を知ったうえでの最新の記述です。


  東アジアの漆の産地と主成分の違い (ページ最下部)

  日本列島は半分は大陸から半分は南から、陸塊や島嶼が移動してできたもの。植生は大陸と南の島嶼からのものでできている。
  日本の植物は東アジアと同系統の植物しか生えていないのです。ですから大陸と同種のウルシが生えています。
  日本固有種という報告書はどこにあるのだろう。本当にあるのかな。

 漆の利用
     ウルシは危険な植物ですが、都市化が進んだ現在それすら知らない人が多いでしょう。

     しかし、以前は有用植物として、人の手で種をあちこちに蒔いて分布を広げていきました。
     まず、染料として 接着剤として そして、一般的な塗料として。 また、食料や、ろうそくとして使われました。

     ウルシ利用のお話 接着剤としての利用が最も最初の利用だろうというお話。


 漆製品の出土
     6500年前最初に大陸製の漆工芸品が出土し、その後日本各地で漆工芸品の生産出土が盛んになる。
     漆製品を持ってやって来た技術集団が、その後定住して漆製品を作ったのではないか。
     この憶測はかなり多方面から出ている。

 垣ノ島遺跡9000年前出土の漆工芸品は、何らかの手法で当時これを手に入れた集団を率いる族長がいたようです。
     大陸で作られた製品が北方ルートで交易品とされたのでしょう。その後、垣ノ島からは何も出ていないから
     垣ノ島付近で作った物ではなく、また、珍しい交易品もそうたやすくは手に入らなかったのでしょう。

 結論
     大陸のどこかで9000年以上前に発達した漆工芸技術の製品が北方ルートで垣ノ島に流れ着き
     幸運にも発見されたということでしょう。